
米連邦準備制度理事会(FRB)の高官らは、いずれは利下げの再開が必要になるとみているが、今週30日にそうする準備はまだできていない。高官らの間で意見が分かれているのは主に、「まずどのような証拠を確認する必要があるのか」と「それを待つことが誤りとなるのかどうか」という点だ。
FRBは今年、ドナルド・トランプ米大統領の関税引き上げによってインフレ再燃への懸念が高まったのを受けて、利下げを一時中断した。その時点では、高官らは一致団結していた。しかし、関税に関連する物価上昇が大方の予想よりも緩やかだったことや雇用の伸び鈍化の兆しを受け、連邦公開市場委員会(FOMC)のメンバーらは現在、利下げを再開すべきかどうかを巡っておおむね三つのグループに分かれている。
FRB内での議論が込み入っている背景には、トランプ氏が利下げを要求し、先週にはホワイトハウスの顧問らが無駄遣いだと批判するFRB本部の改修工事現場を視察するなど、前例のない政治的圧力がかかっていることがある。これはジェローム・パウエルFRB議長の立場を弱めようとする幅広い取り組みの一環だ。
トランプ氏は望みをかなえられるかもしれないが、それは今週ではない。主な焦点は、パウエル氏が米国時間30日午後の記者会見で9月の利下げを示唆するかどうか、そして今後数日から数週間のうちに、他のFRB高官らが次回FOMC(9月16~17日)での利下げに向けた地ならしを始めるかどうかだ。