中韓、米中、米韓関係緊密化の一方
際立って悪化した日中、日韓関係
ここ数年、日中、日韓の関係はどんどん悪化している。二国間首脳協議だけではなく、政府間では何ら建設的な協議は行われている気配がなく、むしろ双方の批判合戦のみが目につく。
言論NPOが公表した昨年8月の日中共同世論調査によると、日本人、中国人の相手国に対する「良くない印象」は、いずれも9割を超えている。また、今月発表された日韓共同世論調査では、日本人の韓国に対する「良くない印象」は54.4%、韓国人の日本に対する同印象は70.9%であった。
このようなデータに示される「国民感情」の下では、関係改善を語ることも難しく、日中、日韓関係を一層停滞させていく悪循環を生んでいる。今月10日、韓国では自衛隊記念日のレセプションが、国民感情を理由に開催予定ホテルによってキャンセルされたほか、他の展示会も同様の理由で中止を余儀なくされている。
中国では、人民日報は今月7日から連日、戦時中の蛮行について旧日本軍戦犯の供述書を掲載し、反日感情を煽っている。
従来は、日本にとっても中国や韓国にとっても、相互の関係は致命的に重要と考えられ、二国間関係が悪くなると、何とか改善していこうとする力が働いた。今はそのような雰囲気がほとんど感じられないどころか、むしろ双方で「わが道を行く。関係が悪くなっても止むを得ない」という、突き放した意識が強く働いているように見受けられる。
一方、中国と韓国の関係は飛躍的に強化されている。韓国にとって中国は最大の貿易パートナーとなり、国民の意識も最近の世論調査では、日本より中国を近く感じる向きが強い。7月3、4日に習近平中国国家主席は、同盟関係にある北朝鮮に先んじて韓国を訪問した。