この夏、衣料用洗剤市場で歴史的な主役交代が起きた。2010年1~8月の累計ベースで、長らく市場の過半を占めてきた粉末洗剤のシェアを液体洗剤が上回り、5割強のシェアを握った模様だ。花王が日本初の液体洗剤「液体ニュービーズ」を発売したのが1964年。じつに46年ぶりの主役交代となった。

 立役者は、ここ1年のあいだに相次いで投入された超コンパクト液体洗剤だ。09年8月、花王が従来の液体洗剤を2・5倍濃縮しパッケージをコンパクトにした「アタックNeo(ネオ)」を発売すると、10年1月にライオンも濃縮タイプの「トップNANOX(ナノックス)」を投入した。

「泡切れがよくすすぎの回数を減らせるため、節水・節電につながる点が支持された」(水谷淳・花王ファブリック&ホームケア事業ユニットブランドマネージャー)結果、アタックネオは発売から累計で約3000万本、トップナノックスは同1400万本の出荷を達成し、洗剤の液体化を加速させた。

 年間2000億円の衣料用洗剤市場は、今後どうなるのか。4割強のトップシェアを握る花王は、8月末に洗浄力を高めた「アタックネオ」の改良版を投入する一方、引き続き粉末洗剤も新機能・品質向上を追求し、首位固めを狙う。

 一方2位のライオンは、10月に超コンパクト液体洗剤の第2弾「香りつづくトップ」を発売、香りという付加価値を訴求し、花王に先行を許した超コンパクト市場で首位奪回を目指す。3位のP&Gもこの市場への参入がうわさされている。主役交代を機に、各社のシェア争いが激化しそうだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 前田 剛)

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