ついつい仕事の合間に「なんてことのない記事」を読んでしまっている人も多いはず
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「ネットには、なんてことのない記事を配信しておけばいいんですよ」

 私は、これと同様の趣旨の発言を、いずれも紙の時代からニュースを発信している複数のメディアの担当者から、ここ数ヵ月のうちに聞きました。どちらのメディアも信用に足る記事を配信している会社だっただけに、少なからぬ衝撃を受けました。

「いよいよ、そう割り切ったのか」と感じた一方で、一人は「ニュースアプリのキュレーションの質が低くなることは、記事を提供する日本のメディアのレベルを引き下げる力を十分に持っていることに気づかないのだろうか」と悔しそうに話すのです。なぜこんな投げやりな発言が出てくるのでしょうか?

スマホの登場で激変した
ニュースアプリ勢力図

 インターネットの視聴率データを提供する「ニールセン」が昨年11月に「ニュース・キュレーションアプリ TOP3は年初からの利用者が2倍以上に増加」というニュースリリースを発表しました。シニアアナリストの今田智仁さんは、「今年、利用者数を大きく増加させた注目のカテゴリー」だったとコメントし、その躍進ぶりに注目しました。

 これによると、スマートニュースが386万人、グノシー が299万人、Yahoo!ニュースが187万人、そしてアンテナの105万人とLINE NEWSの85万人が続いています。これに反論するかのように、Yahoo!ニュースは、その公式ブログのなかで「このような調査のプレスリリースは各社でカテゴリ分けや数値の取り方が異なる」と指摘。事実上、ニュースアプリとして利用されている「Yahoo! JAPANアプリ」と「Yahoo!ニュースアプリ」を合算すべきで、そうすると利用者は1222万人になると主張しました。

 Yahoo!ニュースの主張を取り入れると、1位がYahoo!ニュースとなり、スマートニュースやグノシーがそれぞれ1ランクずつ順位を下げる結果となります。そうすることで、ヤフー・ジャパンが提供するアプリは、そのほかのアプリを合算してそれを2倍にしたくらいの規模を誇ることになります。しかし、2位以下との差は、パソコンで誇っていたほどの規模の差はなくなっています(パソコン時代には、Yahoo! JAPANのトップページをニュースサイトとしてカウントしなくても圧倒的だった)。それだけ、スマートフォン時代のマスに向けたニュース流通において、キュレーションアプリは多様になり、それぞれ大きな影響力を持つように変わってきたと言えます。