人間は、脳あってこその存在。人の行動、思考、感情、性格にみられる違いの数々は、すべて脳が決めているのです。「心の個性」それはすなわち「脳の個性」。私たちが日常で何気なく行なっていることはもちろん、「なぜだろう?」と思っている行動の中にも「脳」が大きく絡んでいることがあります。「脳」を知ることは、あなたの中にある「なぜ?」を知ることにもなるのです。この連載では、脳のトリビアともいえる意外な脳の姿を紹介していきます。

「頑固」と脳の関係は?

 人間の表情は、年を重ねるごとに変わってきます。

 若いときには眉間にシワを寄せていた人も、中年になると落ち着きが表情に浮かび、年相応の風格さえ漂うようになります。しかし、老齢を迎えると、ふたたび眉間にシワを寄せるような人が少なくありません。そして、他人の言うことには耳を貸さない頑固な老人になっていきます。

 もちろん、それは人間の置かれた環境と無縁ではないし、個人差もあるでしょう。それぞれの特殊な事情だと言えなくもありません。しかし、そこに脳は関係していないのでしょうか?

 結論からいえば、イエスです。脳はそれぞれの人間の経験と学習をもとにその特性がつくりあげられ、その情報処理の方法もその人独自のものを構築します。それらは他人とは異なる世界であり、非常に主観的な世界だともいえます。

 だからこそ、お互いにコミュニケーションが必要なのですが、年齢を重ねた脳にとっては、これが無理な負担を生じさせるのです。

脳の活力が不足すると…

 人間が生きていくためには、コミュニケーションが必要となります。つまり相手の言葉を理解し、自身の言葉を発しなければなりません。それは相手の主観的な脳を理解するとともに、自分自身の情報を脳から発信する行為ですが、そのためには実は膨大なエネルギーを必要とするのです。