今春から今夏にかけて、Googleが続々と新機能・新機軸を打ち出してきている。

 新機軸の柱のひとつが、検索エンジンとしてのレベルアップ。

 7月1日には、米Adobe Systemsからの技術提供により、Flash検索を可能にするための新検索エンジンアルゴリズムを開発したと発表。

 現在の検索エンジンは、原則的には静的なテキストとリンクだけを検索対象としているが、このアルゴリズムの導入により、動的コンテンツも検索対象になる。すなわち、メニュー/ボタン/バナーなど、Flashコンテンツに含まれる全テキスト情報が検索結果に反映されることになるのだ。Flashの動的情報を検索対象とするにあたり、コンテンツの制作方法を変える必要はない。インターネットで公開済みのFlashコンテンツも、現在のまま検索対象となる。

 動的コンテンツを含まないサイトに出会うことのほうが稀となった現状では、検索性の向上に大きく寄与するのは言うまでもない。

 ちなみに、この新開発には米Yahoo社も協力しておリ、Yahoo!も、検索サービス「Yahoo! Search」のアップデート時に改善版検索機能の提供を開始する予定である。

検索市場“寡占”状態による弊害の指摘も

 検索機能の向上は、ユーザーにとっては利便性の面でありがたいことであるのは言うまでもない。

 しかし、マーケット全体を見渡すと――、Googleの“一人勝ち”による弊害も指摘されている。

米国検索史上における主要検索エンジンシェア

 6月に発表された米国のオンライン検索マーケットに関する調査結果によると、Googleのシェアは、既に7割近くにのぼっている。

 Googleに次ぐ2位はYahoo!だが、今回の新開発でもわかるように、この2社は連携を強めている。すなわち、マーケットはGoogle/Yahoo!の寡占状態にある。

 検索がインターネットの入り口だとするならば、Googleの進化は、Googleがその入り口を独占することに繋がるとも言える。

 このような状況のもと、この2社の検索広告の値上げや、ユーザーのオンライン活動を完全把握することによるプライバシーの問題を懸念する声もあがっている。

 米国では、Google、Yahoo提携強化によるマーケット寡占状態に対して、マイクロソフト社が以上のような問題を提議し、上院司法委員会と下院司法委員会が独占禁止法違反に関する公聴会が開催されている。

 マーケットの公平性を担保するための法的判断の行方はともかく、プライバシーの問題を含めユーザーの利益保全に関しては、“オンラインマーケットの巨人=ガリバー”への道を疾駆するGoogleの取り組みを、よりシビアな視線で注意深く見守っていく必要があると言えるだろう。

(梅村千恵)