【第3回】 2009年07月30日
改正薬事法施行から1ヵ月
試行錯誤の売場展開とオペレーション
OTC24時間営業トライアルのチャレンジ
6月1日からスタートした改正薬事法だが、開始から1ヵ月あまりが経過し、新規参入組を含めたOTC販売の動向が徐々に明らかになってきた。
登録販売者の登場によって販売チャンスが広がったOTCだが、改正法スタート前から各社が打ち出していた商品価格の値下げ等の影響もあり、蓋を開けてみれば「売上高は期待したほど伸びていない」(家電専門店OTC売場担当者)という声が少なくない。消費そのものが盛り上がりに欠ける中で、日常生活に欠かせない一般用医薬品での商機拡大を狙い、現在も売場新設や営業時間延長などを試みる企業は多い。しかし、売場展開に必要なコストに見合う売上が即座には確保できず、現時点では、OTC販売拡大をもくろんだ。
当初のシナリオが描けない企業が多いのが実情だ。
そのような中、地盤の九州をはじめ、全国でDSを展開するトライアルカンパニー(福岡県福岡市、永田久男社長)は、6月1日より、“九州初”と銘打ち24時間営業によるOTC販売をスタートさせている。24時間OTC販売を実施しているのは、福岡市郊外、糟屋郡粕屋町で展開するトライアル粕屋店。同店では、2008年12月より薬種商販売業として医薬品の取り扱いを開始している。ただ、その段階では薬種商1人での対応だったため、店舗全体が24時間営業する中での同様のOTC取り扱いは難しく、夜8時の営業終了後はコーナーを閉鎖していた。
薬事法改正による新資格者・登録販売者の登場を受け、同店では薬種商から移行する資格者を含めた3人の登録販売者を確保し、6月からは24時間営業をスタート。ただ、1人1日10時間勤務の3交替制で、担当者の休日には、本部からの応援者で対応するというオペレーションを組む。3人という人数は24時間365日営業を実施するための最低ラインで、決して余裕があるとはいえない人員のやり繰りだ。それでも各人の手当が以前の薬種商時代と変更なければ、単純にオペレーション上の人件費は3倍になっている計算で、どうしても相応の売上高と利益確保ができなければ、OTC24時間営業が成り立たないことが分かる。
このような事情はトライアルだけが抱える問題ではないが、24時間営業を掲げるトライアル粕屋店としては、営業時間延長に見合う数値をどうにかして確保したいところだ。同店では全社的にも限られた店舗でしか展開していないポイント10倍キャンペーンを実施。医薬品210円以上を購入した来店客を対象に、他の売場で購入した商品分も含め、全金額に対して10倍のポイントが付与される仕組みだ。
医薬品を210円以上購入しない客に対しては通常のポイントしか付与されないため、食品や雑貨等を購入した客の中には、あえてOTCコーナーに立ち寄り、ドリンク剤など210円以上の商品を購入後、10倍ポイント獲得の条件を満たしてから一般レジで商品の清算を行う客もいる。
このようなカード販促によるOTCへの強力なサポートがあるにもかかわらず、「24時間営業の認知が進まないのか、売上高の状況は決して当初の見込みどおり推移しているとはいえない」(関係者)という。実際に店舗を訪れての印象は、1ヶ月が経過したOTC24時間営業が生活者に認知されていない状況ではなく、生活者が必要としている店舗としての売場づくりそのものの課題だ。
あえて例をあげればレイアウトだ。ドラッグコーナーとして展開するが、実際にはコーナーの中央に制度化粧品と小物など化粧品関連商品が陣取り、OTCは店舗の壁面づたいに間延びした展開が行われている。明らかにOTCを目的に訪れた客には買いにくく、相談を受けるスタッフ側も案内しづらい。カウンセリング化粧品などを試したい客にもコーナーが前面通路側に押し出されており、落ち着いて試すというわけはいかなそうだ。H&BCとしての調和がなく、店内に張り巡らされた「九州初!くすりも24時間営業」との印象ギャップが大きい。
トライアル粕屋店の周囲には、コスモス薬品、ミスターマックス、サティなど、徒歩5分程度の圏内に、いずれもOTCを取り扱う店舗が存在する。その中で24時間営業はトライアルのみだが、その強みを発揮するためにも、まずは店舗(コーナー)の環境づくりから再構築すべきではないだろうか。
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