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吉田恒のデータが語る為替の法則

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中国株が「影の主役」から「表の主役」へ。
これが上海発・円高の「カラクリ」だ!

 前回のレポートでは、月初の米国雇用統計の結果発表を受けた為替相場の動きが、6月、7月と2ヵ月連続で、すぐに行き詰まって反転する「ダマシ」になっていたことを紹介しました(「この程度の米雇用統計の改善では、利上げ期待はまったく時期尚早だ!」参照)。

 この動きは8月も繰り返され、これで3ヵ月連続となりました。これを演出した「影の主役」は中国だと思っています。

 中国が「影の主役」だったという認識はあまりなかったかもしれませんが、その後、今週に入ってからは「影」ではなく、完全に「主役」として意識され始めています。

 そのような「主役」の中国次第で、今後の為替相場がどうなるかは、後で書いてみたいと思います。その前に、前述した3ヵ月連続の「ダマシ」について、中国がどのようにかかわったかを説明します。

米国の早期利上げ期待
が米ドル高を後押し

 8月7日(金)に発表となった米国の雇用統計は、事前予想よりも良い結果となりました。これを受けて米ドルは全面高となり、対円でも98円手前まで米ドル高が進みました。

 米ドル高を支えたのは、米国の早期利上げ期待でした。政策金利を反映する2年物の米国債利回りは、米国雇用統計発表後に1.29%まで急騰しました。

2年米国債の利回り(クリックで拡大)

 米国の政策金利である「FF(フェデラル・ファンド)レート」は、実質的にゼロ金利となっています。これを1%以上も上回ったということは、FFレートが早期に引き上げられることを織り込んだ動きと言えます。

 ここで重要なことは、2年債利回りの上昇は、米国雇用統計発表の7日がピークだったということです。FFレートはその後、14日までに1.0%近辺まで低下しました。

 なぜ、米国の早期利上げ期待は7日でピークアウトし、急速にしぼんでいったのでしょうか?

 1つ注目されるのは、8月11~12日に、米国の金融政策を決めるFOMC(連邦公開市場委員会)が開かれたということです。FOMCでは、金利上昇を抑制する長期国債購入策の強化、拡大が一部で期待されていたのですが、それは見送られました。

 金利上昇を抑制する政策が、期待に反して見送られたわけですから、金利は上昇してもおかしくなかったと思います。しかし、早期利上げを織り込んでいた2年物の米国債利回りは、このFOMCを前後して、さらに低下したのでした。

 それでは、米国の早期利上げ期待を後退させた「犯人」は誰だったのでしょうか?

上海総合指数(クリックで拡大)

 米国でFOMCが開催されていた8月12日(水)、上海株(総合指数)は5%弱も急落していました。上海株(総合指数)は、8月に入ってから下落が続いています。

 このように見てくると、FOMCが長期国債購入策の拡大を見送ったにもかかわらず、米国雇用統計の「ポジティブ・サプライズ」で浮上した早期利上げ期待を「短命」に終わらせたのは、「中国株の急落」だったと言えるでしょう。

 中国株が、米国の早期利上げ期待を後退させた「影の主役」という構図は先週までのことです。

 今週に入ってからは、誰の目からも、金融市場の「主役」が中国株であると映っているのではないでしょうか?

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著者プロフィール

吉田恒
(T&Cフィナンシャルリサーチ代表取締役社長)

立教大学文学部卒業後、自由経済社(現・T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。2004年より同社代表取締役社長、T&Cホールディングス取締役。緻密なデータ分析に基づき、2007年8月のサブプライムショックによる急激な円高など、何度も大相場を的中させている。

この連載について

為替相場には法則がある! 数々の大相場を的中させてきた吉田恒が、豊富な過去データを分析して法則を導き出し、為替の先行きを予想します。

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