【最終回】 2009年07月02日
金融危機にも絡んでいた投資サギの脅威
公正な投資先を見抜く“4つのステップ”
サブプライム・ローン問題に端を発したと言われる現在の経済情勢だが、実は「サブプライム・ローン問題には多くの不正が絡んでいた」と言われているのを、ご存知だろうか?
2008年6月の米司法当局による公表によると、サブプライム・ローン問題に絡む不正行為により、08年3月1日から6月18日までに実に406人もの人々が訴追され、144件が立件されたという。うち60人が、詐欺関連罪で逮捕されている。
この全てがヘッジファンドを舞台に行なわれたサギ事件ではないが、情報開示が法的に徹底されていないヘッジファンドに対する法規制の緩さは常に指摘されているところだ。ヘッジファンドを「Unregulated Investment Vehicle」と呼ぶ投資家もいる。
適切な情報開示が行なわれなかったために起きたサギ事件には、米証券大手ベア・スターンズのヘッジファンド責任者だった元幹部2人による共謀、証券サギ、有線通信不正行為、インサイダー取引などの事件がある(08年6月、米司法当局により当該2名を起訴)。
起訴状によると、2人は「住宅ローンなどの債券を基礎にした2つのファンドを、安全性が高い商品として販売した」という。また、同ファンドの破綻が近づいた際も「投資家が出資を取り止めないように、誤った説明を行なった」とされる。
2人は投資家に対し、「ファンドは、適度な水準で安全・確実に利益を上げられるように組成されている」と説明していたが、07年3月に破綻の危機を迎えた際には、その事実を投資家に伝えなかったという。
そしてこの事件は、世界の過剰流動性を牽引して来た象徴的な存在だったヘッジファンドへの信頼を失墜させ、世界的な金融危機を引き起こすサブプライム・ローン問題の始まりともなったのである。
このような未成熟な法基盤の下では、各投資家が率先して公正なヘッジファンドを“見抜く力”を持たなければならない。
そこで、最終回となるこのコラムでは、投資家が金融犯罪を見抜く力を養い、不正なヘッジファンドから身を守る術となる“リスクベースド・アプローチ”を紹介しよう。
リスクベースド・アプローチの具体的な内容を説明する前に、ヘッジファンドの規制について、簡単に触れておく。
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著者プロフィール
- 有友圭一
(デロイトトーマツコンサルティング パートナー)
15年以上、一貫してグローバル金融機関に対し、新商品計画策定、リスク管理プロセス構築、金融犯罪対策、システム設計・開発に従事。国内外の金融法規制にも精通している。著書に『マネーロンダリング対策の実務』(ファーストプレス)など多数。米国公認会計士。英国ウォーリック大学MBA。
著者プロフィール
- 藤澤俊雄
(デロイトトーマツコンサルティング マネジャー)
金融機関に対し国内法人設立を含む事業立上支援や法令順守体制構築を得意とする。また、幅広い分野におけるマネロンなど金融犯罪対策支援に精通している。金融犯罪に関連して「仮想世界に忍び寄る金融犯罪」でも仮想世界における金融犯罪対策について連載。
この連載について
金融市場に大きなインパクトを与えるヘッジファンド。その実態は、謎のベールに包まれています。この連載では、金融危機後に再び市場に戻りつつある彼らが抱える「金融犯罪のリスク」について分析します。
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