上田 グローバル化により、日本人が海外でビジネスをするのは、今や当たり前の時代。国内においても外資系企業や海外投資家の動きが目立ちますね。そんな国際時代において、日本人が今だに遅れをとっていると言われるのが「英語力」。これはいったい何故でしょうか?
竹中 中学、高校、場合によっては大学まで英語を勉強しているはずですが、やはり「教育の中身」がよくないからだと思います。「日本人は読み書きが得意でヒアリングやスピーチが苦手」という印象がありますが、これは違う。本来、書けないものをしゃべれるわけがないので、やはり「たくさん読んでたくさん書く」という機会が少ないと思うんです。
上田 なるほど。では、大学入試や会社の入社試験の資格として重視される世界的な英語の統一テスト「TOEFL」の国別の平均点を比べてみましょう。「各科目30点満点、合計120点満点」で計算した場合、実はリーディング、リスニング、スピーキング、ライティングの全ての科目においてお隣の韓国が日本を上回っており、合計では日本を12点も上回っているんです。
彼らはこれほど熱心に英語を勉強をしている。それに対して日本人は、やはり甘えの気持ちが強いように思えます。
竹中 アメリカで高等教育を受けている留学生の国別の人数を比較しても、日本と韓国の差は歴然としています。留学生の数は、トップからインド(8万3833人)、中国(6万7723人)、韓国(6万2392人)、日本(3万5282人)の順です。日本の人口が約1億2000万人、韓国の人口が5000万人に満たない程度なので、人口と留学生の比率を見ると、日本の0.03%に対して韓国が0.1%。いかに韓国人の留学熱が高いかがよくわかりますね。
このように、韓国では日本よりはるかに「グローバル化」が進んでいます。今回は、そんな韓国から日本は何を学べるかを考えましょう。
留学生数もTOEFLも韓国が上
英語教育熱から垣間見える「危機感の差」
上田 現在、ウォン安や株価下落により、韓国経済は大変な状況ですね。
竹中 そうですね。韓国経済は1997年に発生した「アジア通貨危機」から立ち直りましたが、ここに来てまた苦境に直面しています。
現在の大統領は李明博氏ですが、盧武鉉前政権で「大きな政府」を作ってしまった反省から、構造改革を進めようとしています。今や多くの国は、市場の競争力を高めるために小さな政府を目指していますが、気がつくと韓国では政府部門が肥大化していた。不況の大きな要因もここにあります。