美容医療を行う女性写真はイメージです Photo:PIXTA

韓国では、極端なほど外見が重要視される。その背景にあるのは「自撮り文化」だ。デジタル加工された自分の顔に現実の顔を少しでも近づけようとし、そのためにあらゆるスキンケア商品や美容注射、美容整形が使われるようになった。そんな韓国における「美容整形ビジネス」の“今”を紹介しよう。※本稿は、エリース・ヒュー『美人までの階段1000段あってもう潰れそうだけどこのシートマスクを信じてる』(新潮社)の一部を抜粋・編集したものです。

ソウルのカンナムに
美容整形ビジネスが集中

 ソウルを二分するハンガンを渡って南に行くと、カンナムに着く(「カン」は川を意味し、「ナム」は南を意味する)。マンハッタン島よりも少し小さいカンナムはPSY(編集部注:韓国のラッパー、ソングライター、音楽プロデューサー。本名はパク・チェサン)のおかげで多くの人に知られているソウルの地域だ。

 道路は10車線もあり、輝く高層の多目的ビルが建ち並び、その1階にはたいていフランチャイズのコーヒーショップが入っている。カンナムに高所得者向けの住宅がたくさんあるのは確かだが、それだけではない。

 おそらくカンナムで最も裕福な地区である狎鴎亭(アックジョン)には非常に多くの高級店が並び、街のように大きいショッピングモールのような高級車のショールームがいくつもある。

 夜になると、精巧なアート・インスタレーション(編集部注:空間全体を作品とする芸術手法)のように見えるビルもあり、前面の色が10秒ごとに変わって、前をゆっくりと進む車に無料で光のショーを見せてくれる。