ダイヤモンド社の雑誌

野口悠紀雄が探る デジタル「超」けもの道

このページを印刷

バックナンバー一覧

GmailやGoogle appsに見られる
「クラウド・コンピューティング」という新たな方向性

 「クラウド・コンピューティング」という考えが、これからのコンピュータの使い方の方向付けを示すものとして、注目を集めている。

 クラウドは、「雲」という意味だ。つまり、「データやアプリケーションソフトなどコンピュータの作業で必要なものを、手元にあるパソコン(PC)から雲の中に移してしまい、必要に応じて取り出して使おう」ということである。

 雲というのは、インターネット、あるいはその先にあるデータ処理システム(コンピュータやサーバーなど)だ。ただし、ユーザーは、その存在を意識しない。それがどこにあるのか、どのようなものなのかなどを知らずに使うことになる。「雲」というつかみどころのない表現が、それをよく表している。クラウド・コンピューティングはweb2.0のつぎの概念だと言われるが、web2.0という言葉の無機質な感じに比べると、ずっと親しみやすい。

 さて、抽象的なレベルでは、多くの人がクラウド・コンピューティングを以上のような意味で理解している。しかし、もう少し具体的なレベルになると、さまざまな論者が異なる定義で用いており、必ずしも共通の厳密な定義が定着しているわけではない。

 この問題について議論すると、「そんなものはクラウド・コンピューティングではない」とか、「本来のクラウド・コンピューティングとはこのようなものだ」という類の反応が必ず返ってくる。比較的新しい概念であり、しかも変化が進行中なので、さまざまな解釈が生じるのは止むを得ない。ただし、言葉の解釈に混乱が起こっているとする指摘もある(以下で述べることも、正確に言えば、「私が理解しているクラウド・コンピューティング」である)。

 そこで、最も単純な形態のクラウド・コンピューティングをまず考えてみることにしよう。これで具体的なイメージが掴めれば、理解は容易になる。そして、以下で述べることを実際にやってみれば(実行するのは実に簡単だし、費用もかからない)、クラウドの意味が理解できる。そして、従来のPCの使い方に比べて能力が飛躍的に拡大することが実感できるだろう。

データをクラウドに置く

 「クラウドの中に置く」ものとしては、データとアプリケーションの2つのものがある。まずデータの面を見よう。データとしては、自分が作業中のデータ(書きかけの原稿や報告書、作業中の計算シートなど)や、メール送信記録などがある。

 データに関する一番単純な形のクラウド・コンピューティングは、Gmailを用いることで簡単に実現できる。Gmailは無料のサービスなので、すぐにでも実行できる。

 それについては、この連載の第10回「データ保存の基本思想に大転換を迫るグーグルのGmail」ですでに述べた。Gmailでは、メールのログ(送受信の記録)は、現在7GBまで無料で保存できる。通常の利用では、これは、事実上無限の容量と考えることができる。

おすすめ関連記事

ソーシャルブックマークへ投稿: このエントリーを含むはてなブックマーク この記事をYahoo!ブックマークに投稿 この記事をBuzzurlに投稿 この記事をトピックイットに投稿 この記事をlivedoorクリップに投稿 この記事をnewsingに投稿 この記事をdel.icio.usに投稿

Special Topics

バックナンバー

Pick Up

News&Analysis

米国人はなぜトヨタを叩くのか? 日本人が軽視する不信増幅の本当の理由

リコール問題を機に、手のひらを返したように、米国で広がるトヨ‥

今週のキーワード 真壁昭夫

「子ども手当」の満額支給に黄信号! 今こそ問う“誇大広告政治”の功罪

民主党の目玉政策だった「子ども手当」の満額支給が、いよいよ怪‥

日本人が知らないリアル中国ビジネス 江口征男

中国人エリートの年収が日本人を逆転! 札束で顔を叩く「高級人材争奪戦」の内幕

日系企業が中国人プロフェッショナルを雇い入れるのは、今や容易‥

SPORTS セカンド・オピニオン

直前に迫ったバンクーバー五輪が 今イチ盛り上がらない原因

大会が始まれば、多くの人が日本選手を応援するのだろうが、ひと‥

新着トピックス

保田隆明 大学院発! 経済・金融ニュースの読み方
キリン・サントリー経営統合破談 業界、投資家それぞれの損得
ツイッター+αのつぶやき企業戦略
「つぶやき」で顧客満足度UP!の好循環 デルに学ぶツイッター活用の大原則
元銀行マンの准教授が語る 「腹に落ちる」環境学
高速道路、一部無料化へ――タダより高く、怖いものはない!? 「1000円」と「無料」の大きな違い
プロが教える住宅購入計画
住宅購入の際にかかる意外なおカネ 「諸費用」完全ガイド
inside
業者の“黒字倒産”もありうる FX「信託保全義務化」の衝撃度
inside
医薬品審査の実態公開めぐり 独法改革恐れる厚労省が猛反発
これが気になる!
ワインだけじゃなかった!意外な伏兵「コーヒーポリフェノール」に注目
梶井厚志 コトバの戦略的思考
「井戸の茶碗」
広瀬隆雄 世界投資へのパスポート
ギリシャやスペインの問題は長期化へ。 ユーロ安でほくそ笑むルイヴィトンとBMW
藤井英敏 株式市場サバイバル!
初中級投資家の皆さん、 バーゲンセールを待ちましょう!!
人気のあの街をレポート!
中央線、城南などなど…新築分譲一戸建てからどうぞ
大切なお金どう増やす?
素朴な疑問も高度な技にも丁寧な対応でスキルアップ

最新の連載一覧

すべての連載

特集を見る

Diamond Premium 最新記事 無料会員登録すると全文が読めます

Close-Up Enterprise
暗中模索のウィルコム問題 最後のPHS事業者の末路
本荘修二の実践講座! 社員を動かすウェブ
IT革命で崩れたコミュニケーションの 「お作法」を作り直そう!
山崎元のマネー経済の歩き方
大学生に資産運用をどう教えるか
野口悠紀雄 未曾有の経済危機を読む
1人当たり時価総額で10~200倍の開き! 日米企業間のビジネスモデルの圧倒的違い
日本を元気にする企業の条件
神戸のライジングスター! 血液検査でお馴染みのシスメックスが 作り上げた“仕組みビジネス”の凄み
公認会計士・高田直芳 大不況に克つサバイバル経営戦略
“トヨタ黄色信号”はリコール前から点滅!? 株価指標でわかる自動車業界の優勝劣敗
IFRS最前線
リースor購入どっちがおトク!? 煩雑化するリース会計攻略法を探る
インターネット上の“不満の声”
企業に向けられたインターネット上の“不満の声”。うまくさばく秘訣は?
DOL編集部のツイッターを開始
最新記事の話題から編集部の日常まで、24時間つぶやきます。フォローよろしくお願いします。

Business information

著者プロフィール

野口悠紀雄
(早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授)

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授などを経て、2005年4月より早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『「超」整理法』シリーズ、『資本開国論』『モノづくり幻想が日本経済をダメにする』等がある。 野口悠紀雄ホームページ

------------最新経済データがすぐわかる!------------
『野口悠紀雄 使える!「経済データ」への道』

この連載について

本当に使える情報源を求めて、野口教授が広大なインターネット・ワールドを駆けめぐる。各種情報源の特徴から使い勝手まで、辛口コメントを交えて大公開!

野口悠紀雄氏の最新刊「円安バブル崩壊」好評発売中!

急激な円高と止まらぬ株価下落。日本経済はいまや深刻な危機に。「サブプライムショック」はあくまでも引き金に過ぎない。根本的な原因は、あり得ない円安・低金利政策にある。経済政策の無能を厳しく指弾する痛快経済エッセイ! 1680円(税込)

Recommend 話題の記事

野口悠紀雄 未曾有の経済危機を読む
1人当たり時価総額で10~200倍の開き! 日米企業間のビジネスモデルの圧倒的違い
今週の週刊ダイヤモンド ここが見どころ
巷に溢れる悪徳業者を見極めよう! 困らない「葬儀」のイロハを徹底解説
エコカー大戦争!
トヨタや日産の敵?日本企業を惑わす 米新興電気自動車メーカーの本当の実力
はい上がれる人、はい上がれない人――「負け組社員」リベンジの十字路
テレクラ通いで反撃準備? 壮絶ないじめと闘う“反骨の営業マン”
イマドキ職場のギャップ解消法
「大卒には絶対負けない!」 なぜ高卒社員は大卒社員に闘争心むき出しなのか
業界別 半年先の景気を読む
次に外資が群がるのは中央アジア!? 世界が注目する「鉱物資源の宝庫」 の実力
経済ジャーナリスト 町田徹の“眼”
それでもボルカールールは必要 「大き過ぎて潰せない」まま放置より良策だ
格差社会の中心で友愛を叫ぶ
“ワケあり”キャバ嬢にアラフォー日雇派遣!貧困の泥沼にはまる女たち
日本を元気にする企業の条件
神戸のライジングスター! 血液検査でお馴染みのシスメックスが 作り上げた“仕組みビジネス”の凄み
IFRS最前線
リースor購入どっちがおトク!? 煩雑化するリース会計攻略法を探る

雑誌定期購読のご案内


詳しくはこちら

特大号・特別定価号を含め、1年間(50冊)市価概算34,500円が、定期購読サービスをご利用いただくと25,000円(送料込み)。9,500円、約13冊分お得です。さらに3年購読なら最大49%OFF。


詳しくはこちら

1冊2,000円が、通常3年購読で1,333円(送料込み)。割引率約33%、およそ12冊分もお得です。
特集によっては、品切れも発生します。定期購読なら買い逃しがありません。


詳しくはこちら

年間12冊を定期購読すると、市販価格8,400円が7,150円(税・送料込み)でお得です。お近くに書店がない場合、または売り切れ等による買い逃しがなく、発売日にお手元へ送料無料でお届けします。
※別冊・臨時増刊号は含みません。


詳しくはこちら

偶数月の1日発売(隔月刊)。1年購読(6冊)すると、市販価格 5,880円→4,700円(税・送料込)で、20%の割引!
※別冊・臨時増刊号は含みません。

お知らせ・ご案内

会員専用ページ開始のお知らせ
7月より一部の記事で、無料会員登録した方だけが全文を読める形に変わりました。詳細はこちらをご覧ください。