問題のない職場はない。その問題をわかってほしいという思いは、多くの会社員が持っている。しかし、その伝え方を誤ると、報復を受け、痛い目に遭う場合がある。
今回は、人事部が行なうヒアリングで、露骨に上司たちを批判したことで、上司たちからいじめ抜かれ部署を追い出される寸前になっている、ある男性社員のケースを紹介する。
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■今回の主人公
村松 義夫 仮名(33歳 男性)
勤務先: 中堅精密機器メーカー(従業員数230人)に勤務。会社は、昨年秋以降の不況により、一部の派遣社員の労働契約を解除した。いまは、人事部で正社員の人員整理も検討されている。
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(※この記事は、取材した情報をプライバシー保護の観点から、一部デフォルメしています)
上司からの陰湿ないじめ
村松が懸念していたことが起きた――。部長の三好(49歳)が村松の後ろを通るときに、こう言った。
「どけよ!こんなに後に椅子を引いたら、人が通れないだろう。この部署の秩序を乱しているのは、君じゃないか!」
「……」
「“すいません”ぐらい言えよ。困った人だな~。君こそが、職場をかき回しているんだ」
さらに、三好は言い放った。
「そんな態度では、この部署においておけないな」
村松は、左隣の原島(28歳)を見た。原島は、こちらを見ようとしない。しばらくすると、課長の森下が言い始める。
「村松君、この前、清掃の人が“君の机のうえが汚い”と文句を言っていたぞ。今後は、気をつけてくれよ」
「すいません……」
村松はそう言うと、メールの受信トレイを見た。原島からメールが届いている。
「いま、話すのはまずいよ。みんな帰ってから……」
村松は、受信トレイの画面を閉じた。