2020.5.13
新型コロナ金融危機モードの陰で金融正常化を目論む日銀の「深謀遠慮」
コロナショック対応で日本銀行は「金融危機回避」の緩和強化策を相次いで打ち出したが、その中にはマイナス金利の“骨抜き”や「量の縛り」を弱めるなど金融政策「正常化」に向けての深謀遠慮がうかがえる。
金融・経済ウォッチャー
すずき・あきひこ/1981年早稲田大学政治経済学部経済学科、87年ハーバード大学ケネディー行政大学院卒。
銀行調査部、シンクタンク、内閣府で30年余りのエコノミスト経験。現在は、金融政策を中心に金融・経済情勢についてウォッチしながら、さまざまな気付きを情報発信。青山学院大学大学院他で非常勤講師。著書「デフレ脱却・円高阻止よりも大切こと」中央経済社、「デフレとの20年戦争」きんざい。
X(旧ツイッター)@3427asuzuki
2020.5.13
コロナショック対応で日本銀行は「金融危機回避」の緩和強化策を相次いで打ち出したが、その中にはマイナス金利の“骨抜き”や「量の縛り」を弱めるなど金融政策「正常化」に向けての深謀遠慮がうかがえる。
2020.4.30
新型コロナウイルス対策は、世界各国で経済活動の再開へと舵が切られようとしているが、日本は緊急事態宣言の対象が全国に広がるなど、中国や欧米に後れをとっているようにも見える。しかしコロナとの戦いにおいて、感染抑制と経済活性化を同時に達…
2020.4.22
新型コロナウイルス問題で各国政府は感染拡大防止と経済収縮からの脱却という相反する課題に直面する。日本は中国や欧米に比べても経済再開の時期は遅れ、V字回復も難しいが、焦らずやるべきことに取り組むしかない。
2020.4.3
3月の月例経済報告で政府は景気判断を大幅に下方修正したが、文言には「景気後退」を示す表現はない。コロナショックによる一時的な落ち込みのせいにして経済対策でV字回復を狙い、「景気拡大」は維持する作戦のようだ。
2020.3.28
経済のグローバル化は、世界経済の成長をもたらすと同時に、パンデミックのリスクを拡大させる。しばらくの間、新型コロナウイルスの感染を抑える措置がグローバル化に逆行するものとなり、世界経済にダメージを与えることは避けられない。とはいえ…
2020.3.11
“コロナショック”に対し日本銀行は資産買い入れ増額などでしのぎたいのだろうが、マイナス金利の深掘りを余儀なくされる可能性が高まっている。日銀は先を見て、無担保コールレートを政策金利として復活させ、マイナス金利政策の骨抜きを狙ってい…
2020.2.28
日本では円高を心配する傾向が根強い。しかし、日米金利差の縮小を背景に円高が進むのではないかという懸念に反して、ドル円レートは110円近辺で安定的に推移している。巨額の貿易黒字を計上し、貿易摩擦を伴った円高圧力が続いていたのは過去の話…
2020.2.26
昨年10~12月期のGDPマイナス成長や新型ウイルス問題の影響で「景気落ち込み」の懸念がいわれるが、2018年10月を「山」に景気後退は始まっている。政府は景気回復の旗を降ろせない事情がある。
2020.1.31
人口が減少している日本では生産性の向上が必須とされている。しかし、そもそも人口減少で成長率が低下すれば、生産性の低下は避けられない。また、量の拡大による成長が難しくなる中、質の向上で成長しようという認識が広がっているが、価値の増加…
2019.12.31
2020年の日本経済は厳しいとの見方が多い。たしかに、消費増税、消費税対策の終了、さらには東京オリンピック後の反動など、不安材料には事欠かない。2020年の日本景気は、不安材料が現実のものとなり、本当に悪化するのだろうか?一部で懸念されて…
2019.12.25
今回の景気拡大の「山」は2018年10月ごろだった可能性が高く、政府が今年1月に言及した「いざなみ景気」を超えた「戦後最長の景気拡大」は幻に終わりそうだ。
2019.11.29
日銀の新しいフォワードガイダンスは、追加緩和の可能性を示唆したとされている。もっとも、これは記者会見での黒田総裁の説明に敬意を表しているからであり、この難解なガイダンスをいくら読んでも利下げの可能性を示唆したというメッセージは伝わ…
2019.10.30
日銀の次の「緩和カード」は短期政策金利の引き下げが有力だが、イールドカーブのスティープ化やマイナス金利の「無害化」など、決定会合で決められるのとは別の“もう一つの金融政策”は続くだろう。
2019.10.24
デフレ脱却の旗を掲げるアベノミクスだが、今回の消費税対策を見る限り、安倍政権は物価を上げたくないようだ。前回、8%への消費増税でインフレの恐ろしさを認識した政府は、物価を上げるという意味でのデフレ脱却への興味を失っている。さらに、…
2019.9.26
米国とイランの緊張が高まっている。いつものことではあるが、互いの憎しみは半世紀にわたって続くものであり、簡単に和解できるものではない。一方、イスラム教のスンナ派とシーア派の対立も中東の宿命のようなものである。この2つの対立が融合す…
2019.9.4
消費増税の駆け込み需要が目立っていないのは政府の対策の効果というよりも消費の基調が弱まっていることの反映だ。増税後に消費がさらに低迷する可能性がある。注意すべきは消費の基調自体の変化だ。
2019.8.28
日本は20年近くデフレとの戦いを続けているが、2%の物価目標は達成できないままだ。「デフレは悪」という踏み絵を一番しっかり踏まされた日銀が、二度にわたって出したデフレ宣言は、この20年間の金融政策を厳しく縛ることになった。日銀は相変わ…
2019.7.23
自由貿易の危機が叫ばれている。中国など新興国の追い上げにあった米国は、「アメリカファースト」と言って自由貿易に背を向けるようになってきた。強者の論理とも言われる自由貿易に反対する声は常に存在しており、自由貿易は素晴らしいという理念…
2019.7.10
米国FRBの利下げの見通しが強まるが、緩和手段が限られる日銀の「次の一手」は、マイナス金利の深掘りとイールドカーブ・コントロール(長短金利操作)強化の合わせ技になる可能性が高い。
2019.6.22
安倍首相は6月10日、2%の物価目標は達成していないが、本当の目的はたとえば完全雇用を目指すことであり、その意味で目標は達成している、と述べた。この発言は、消費増税の地ならしと考えてよさそうだ。一方、金融政策の正常化は先送りされそう…
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