2023.4.19
緩和維持の植田日銀、2%物価目標「未達成でもやれること」はある
植田日銀総裁は物価目標達成には時間がかかることを理由に緩和維持を表明したが、YCCが国債市場の乱高下を招きやすい点は問題視していた。物価目標未達成の段階でも長期金利の安定のためYCCの運用柔軟化や時間軸強化はやる可能性がある。
金融・経済ウォッチャー
すずき・あきひこ/1981年早稲田大学政治経済学部経済学科、87年ハーバード大学ケネディー行政大学院卒。
銀行調査部、シンクタンク、内閣府で30年余りのエコノミスト経験。現在は、金融政策を中心に金融・経済情勢についてウォッチしながら、さまざまな気付きを情報発信。青山学院大学大学院他で非常勤講師。著書「デフレ脱却・円高阻止よりも大切こと」中央経済社、「デフレとの20年戦争」きんざい。
X(旧ツイッター)@3427asuzuki
2023.4.19
植田日銀総裁は物価目標達成には時間がかかることを理由に緩和維持を表明したが、YCCが国債市場の乱高下を招きやすい点は問題視していた。物価目標未達成の段階でも長期金利の安定のためYCCの運用柔軟化や時間軸強化はやる可能性がある。
2023.4.10
黒田東彦・前日銀総裁は、3月10日の定例記者会見で、10年間の金融政策について自己評価をした。同氏は、大規模な金融緩和によって経済は大きく発展し、物価が持続的に下落するという意味でのデフレではなくなったと述べるなど、終始、自画自賛の姿…
2023.3.14
10年以上にわたって日銀総裁を務めた黒田東彦日銀総裁が退任し、4月から植田和男氏が新しい日銀総裁に就任する。そして、日銀総裁の新旧交代に合わせて、黒田現総裁の金融緩和の柱となった「政府・日本銀行の共同声明(以下、アコード)」を見直す…
2023.2.22
植田新総裁の日銀審議委員時代の言動から判断すると、マイナス金利政策や量的緩和には懐疑的と思われ、当面は金融緩和継続を言いながら、ある時点で物価見通しを修正し伝統的な金利政策に転換するとみられる。
2023.2.13
22年12月の消費者物価(除く生鮮食品)は、前年比4.0%上昇し、9カ月連続で2%の物価安定目標を超えている。23年1月は4%台半ばの上昇になりそうだ。春以降も大幅な料金引き上げが見込まれている。日銀は、デフレ脱却を宣言してもおかしくない状況…
2023.1.16
日本銀行は、昨年12月20日の金融政策決定会合において、誘導目標である10年国債金利の変動幅を0.5%に拡大した。この決定は、日銀の金融政策の転換点になるとの評価もあるが、これは通過点と考えた方がよさそうだ。2013年4月の黒田総裁登場とともに…
2022.12.21
日銀のYCC政策の長期金利誘導の上限引き上げは、国債市場などの異常な機能低下への批判の強まりから変更は時間の問題だった。金融緩和是正の第一歩の可能性もあるが、黒田総裁のもとでは「打ち止め」だろう。
2022.12.16
日銀は、2年以内に2%の物価安定目標を達成するという短期決戦を想定したが、その目論見は見事に外れ、いつ終わるともしれない資産の膨張が始まってしまった。日銀が、資産膨張を食い止めるための苦心策を時系列で説明することで、現在の日銀の金融…
2022.11.30
円安は一服感が出ているが、2%物価目標を上回る物価上昇が続いている。為替を理由にした政策修正はしにくかった日銀には、物価目標達成を理由に政策修正をする道が開けてきた状況だ。
2022.11.14
日銀の黒田総裁は、10月の金融政策決定会合後の会見で、2%の物価安定目標の実現を目指し、これを安定的に持続するため現在の金融緩和を続けるという基本方針を改めて確認した。世界中がインフレで悩む中、日銀だけがデフレを心配する理由を推察す…
2022.10.26
円安阻止で日銀が金融緩和政策を利上げに転換することはなさそうだ。だが消費者物価が4月から連続して2%物価目標を達成し物価情勢が上振れするなか、異次元緩和の"出口"戦略はすでに進められている。
2022.10.10
黒田総裁は、9月21・22日の金融政策決定会合終了後の会見で、政策金利などの金融政策の変更は当面ないという従来からの主張を繰り返し、当面とは「2~3年の話」と示した。しかし、これまで政府や日銀が当面という言葉を使う時は、3カ月からせいぜい…
2022.9.15
7月の消費者物価(全国、除く生鮮食品)は前年比+2.4%と、4月から4カ月連続で2%の物価安定目標を達成している。8月は、1年前の携帯通信料引き下げの影響が剥落するため、物価上昇率は2%台後半に入ってきてもおかしくない。持続性がなく、賃金の…
2022.8.31
日本のインフレが緩やかなのは原材料コスト上昇分の価格転嫁が抑えられてきたからだが、それも限界になり企業の価格戦略が変わり始めている。インフレは欧米で峠を越えても日本は“価格転嫁のマグマ”が残っており長引きそうだ。
2022.8.15
7月19日に景気動向指数研究会が開催され、景気を把握する新しい指数の検討状況について報告された。新しい指数作成の基本方針を解説するとともに、政府が新しい指数を検討する真の狙いを、過去の景気判断における政府の対応を振り返りながら考察す…
2022.8.5
日銀は7月の金融政策決定会合でも「緩和維持」を決めたが、黒田総裁の発言からは金融緩和の出口を考え始めているいくつかの示唆が垣間見える。早ければ今秋以降に政策変更に向けた動きが出る可能性がある。
2022.7.6
円安・物価上昇に「緩和維持」を続ける日銀だが、マネタリーベースは着実に縮小させており、「量的引き締め」開始は秒読み段階だ。2%台の物価上昇が続く秋には政策修正の可能性がある。
2022.7.5
円相場は、1ドル=140円に近づこうとしているが、それでも円安の流れが止まらない。1985年のプラザ合意以降の円高の流れは、2011年までで終わったと考えるべきと主張する日本経済分析のエキスパートが、円安が進む2つの要因を解説するとともに、円…
2022.6.7
中国は、日本や韓国など計15カ国からなる「東アジア地域の包括的経済連携」(RCEP)に参加。東アジア地域を代表するメガ自由貿易協定(FTA)となり、中国の存在感は一段と高まる一方、環太平洋地域での米国の存在感は低下している。しかしバイデン…
2022.5.11
物価上昇でも日銀は「デフレ脱却」の緩和政策を続ける構えだが、次は「スタグフレーションとの戦い」が予想され、2%物価目標の見直しとともに資産圧縮とマネタリーベース縮小に手を付ける時だ。
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