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アマゾンのレジなしスーパーが
担うリアル店舗戦略の凄み

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第416回】 2016年12月13日
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リアル店舗は3つの方向性

 折しも、シアトルだけでなくシリコンバレーにも2ヵ所、アマゾン・ストアーではないかと思われる計画が進んでいることも伝えられている。一説によると、アマゾンは3つのパターンの店舗を計画しているという。ひとつは、オンラインで注文した普通の商品をピックアップできる店。二つ目は生鮮食品も含めたストアー。そして3つめが、ストアーとドライブスルーでオンラインの注文を受け取れる場所を合体したものだ。

 関係者の言として、アマゾンはいずれ全米に2000店を開く計画があるともされているが、アマゾンはこれを否定している。また、2018年までに全米でさまざまなタイプのストアーをパイロット・プログラムで建設するといううわさもあるが、これも認めていない。計画の詳細は不明だ。

 ただ、アマゾンGoの動きは、同社の戦略に合致する部分も大きい。

 ひとつには、オンラインショッピングでスタートした同社が、最近はリアル店舗にますます関心を抱いていること。地元シアトル含む西海岸3都市にリアル書店を開店しているうえ、さらにイリノイ、マサチューセッツ州にも店舗をオープンする計画だ。その他の地域では、ショッピングモールなどにキンドルや家庭用AI機器のエコーなどを販売するポップアップショップがいくつもできている。

 さらに全米の大学と提携して、キンドルのショールームと商品受け取り、返却場所を兼ねたキャンパス・ショップもいくつかできている。オンラインだけでなく、リアルな生活の中でも客を取り逃さないよう努めているのだ。

 また、アマゾン・フレッシュとの関係も興味深い。生鮮食品の即日配達を行うアマゾン・フレッシュは、至近距離からの配達網がキーになるが、もしアマゾンGoが全米に展開されていれば、ここを倉庫のように利用して配達を行うことが可能になる。

 アマゾンにとっての牙城は、生鮮食品と日用品とされる。日本でも発売が始まったダッシュボタンは日用品分野での一手だ。アマゾンGoが現実的にどう成果を上げるか、かなり興味深いものがある。

アマゾンが申請した特許の資料に記載されたシステム構成図。さまざまなセンサーやカメラで客の行動を検知する(https://docs.google.com/viewer?url=patentimages.storage.googleapis.com/pdfs/US20150012396.pdf)

 

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瀧口範子
[ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。

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