進化した国産ドローンが「目の代わり」「手の代わり」となって、日本の電力インフラの課題を解決するACSLが開発した小型空撮ドローン「SOTEN(蒼天)」

国産ドローンを開発するACSLが小型空撮ドローン「SOTEN(蒼天)」を発売した。高いセキュアと飛行性能を実現したSOTENは、インフラ点検や防災・災害対策、測量などでの活用を想定し、日本が抱える社会課題を解決することが期待される。同社代表取締役社長の鷲谷聡之氏と、電力設備点検でのドローン活用を進めるグリッドスカイウェイCEOの紙本斉士氏がドローンの可能性について語り合った。

紙本 グリッドスカイウェイは電力設備の点検をはじめ、ドローンが安全に飛行するための新たな空のインフラを提供することを目指しています。高経年化している電力設備の維持管理をしっかりして、電力の安定供給を確保しなければならないという中、6年ほど前から現場主導でドローンを試行的に利用するようになりました。今では全国の電力会社が1500台以上を所有し、プロポ(送信機の俗称)を使って主に手動でドローンを飛ばしています。

 従来は、設備の状況を確認するには電気を止めて作業員が鉄塔に昇り、送電線の上に乗り出して点検をしていたのですが、ドローンに装着したカメラを利用することで、鉄塔に昇る機会を減らすことができるようになりました。

鷲谷 現場主導とのことですが、意外な使い方はありましたか。

紙本 送電線に飛来物が引っ掛かった場合、それを取り除く機械があるのですが、その機械を装着する際、鉄塔に昇らなければなりません。それをドローンを活用して装着用のひもを電線に掛けることで、鉄塔に昇らずに機械を装着することに成功した例がありました。

進化した国産ドローンが「目の代わり」「手の代わり」となって、日本の電力インフラの課題を解決するACSL 代表取締役社長 鷲谷聡之
1987年生まれ。2013年4月マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク ジャパン入社。16年7月よりACSLに参画。同年12月取締役最高財務責任者(CFO)兼最高戦略責任者(CSO)に就任。取締役最高事業推進責任者(CMO)、取締役最高執行責任者(COO)を経て、20年6月代表取締役社長兼最高執行責任者(COO)に就任。22年3月より現職。

グリッドスカイウェイ CEO 紙本斉士
愛媛県出身。1992年東京電力入社。架空送電線の保守・工事全般、再生可能エネルギー系統連系対応、電力流通設備全般および水力発電の管理、浜通り電力所長、事業開発室部長を経て、2020年3月より、グリッドスカイウェイにも所属。電力設備の航路プラットフォーム構築による保全高度化とレジリエンス強化および航路プラットフォームビジネスに向けた取り組みを実施。

鷲谷 ドローンの使い方を整理すると、「目の代わり」と「手の代わり」に分けられます。一般的には「目」への着目が多いのですが、電力設備点検の分野で手の代わりとしてのニーズがあるのは面白いですね。まだまだ活躍の場があるのだと、感じさせられました。