企業の収益性や成長性から算出するのが理論株価。あの優待名人・桐谷広人さんもフル活用している。ダイヤモンド・ザイで3カ月に一度発表される、この理論株価の最新版から、誰もが気になる銘柄の割安度をいくつかご紹介しよう。
日経平均の理論株価は3カ月前より下落
割安から割高に転換した本当の理由は?
株は割安な時に買って値上がりしたら売るのが基本。ただ、その割安の判断が難しい。そこでお役にたつのが、ダイヤモンド・ザイが3カ月ごとに発表している理論株価。
理論株価は、その株の成長価値(予想1株益に将来の想定成長率を掛けて算出)と利益価値(予想1株益に将来利益の織り込み年数を掛けて算出)、そして資産価値(直近の1株純資産)を合計したもの。
現実の株価が理論株価より低ければ割安、現実の株価が高ければ割高となり、非常に簡単に割安な株を発見することができる。あの優待名人・桐谷広人さんも、「ザイの理論株価で割安かどうかチェックし、利回りが高い時期に買っておく」(ザイ15年6月号より)と、大いに参考にしているのだ。
さて、ザイでは個別銘柄だけでなく、日経平均の理論株価も毎回算出している。今回の日経平均の理論株価は1万9442円で、現実の日経平均株価2万473円(6月3日時点)よりも低く、割高になっている。
過去3回の発表では数値の違いはあってもずっと割安だったが、最新版では割高に転換した。「では日本株は全体として割高になったのか」と思われるかもしれない。だが、ちょっと待ってほしい。そこには日経平均ならではの「カラクリ」があるのだ。
詳しい説明は省くが、日経平均は、特定の銘柄の値動きに大きく左右される仕組みになっている。なかでも、ファーストリテイリング(9983)、ファナック(6954)、ソフトバンク(9984)の3銘柄は日経平均に大きな影響を与える株として有名で、これらの株価が大きく下がると日経平均は大きく下がる。理論株価もまた同様だ。では、この3銘柄の理論株価がどうなっているかを見てみよう。銘柄は影響度が大きい順に並べてある。
☆日経平均を大きく動かす3銘柄の株価と理論株価(影響度が大きい順) | ||||
株価(6/3) | 理論株価 | 割安/割高判定 | 詳細情報 | |
1 | 【会社名(コード)】ファーストリテイリング(9983) | |||
5万1030円 | 2万4194円 | 111%割高 | ||
2 | 【会社名(コード)】ファナック(6954) | |||
2万7415円 | 1万0845円 | 153%割高 | ||
3 | 【会社名(コード)】ソフトバンク(9984) | |||
7435円 | 8512円 | 13%割安 |
3銘柄のうち日経平均への影響度が小さいソフトバンクは13%とやや割安だが、影響度1位のファーストリテイリングは111%、2位のファナックにいたっては153%と、どちらも非常に割高。
実は、ファナックの理論株価は前回(5月号)では4万3078円と今回の数値よりもかなり高かったにも関わらず47%割安になっていた。ファーストリテイリングこそ前回の理論株価は1万9272円で140%割高だったが、ソフトバンクの理論株価は前回が1万7938円で、今回は半分以下に低下している。
3銘柄ほどではないにしろ、他の構成銘柄より日経平均に影響を与えやすいキヤノン(7751)なども理論株価が前回よりも低下し、なおかつ割安から割高に転換している。こういう事情から、日経平均の理論株価が低下しつつ、割安から割高に転換したのだ。
3590銘柄中2420銘柄が割安な水準
JPX日経400構成銘柄も半分が割安
ただ、全上場企業に視野を広げると、景色はまったく異なる。というのも、全上場企業3590社のうち、2420銘柄・67%以上が理論株価と比較して割安と判定されているのだ。
この中には、先述の日経平均に組み込まれており、なおかつ、高ROEなどの条件で選ばれた優良銘柄で構成されているJPX日経400にも組み込まれている銘柄も多数ある。JPX日経400の構成銘柄だけをみれば、ちょうど半分、200銘柄が割安になっている。
☆日経平均&JPX日経400の構成銘柄で割安な銘柄の一例(コード順) | ||||
株価(6/3) | 理論株価 | 割安/割高判定 | 詳細情報 | |
1 | 【会社名(コード)】日立製作所(6501) | |||
841.5円 | 1433円 | 41%割安 | ||
2 | 【会社名(コード)】三井造船(7003) | |||
232円 | 516円 | 55%割安 | ||
3 | 【会社名(コード)】日産自動車(7201) | |||
1319.5円 | 1916円 | 31%割安 | ||
4 | 【会社名(コード)】ホンダ(7267) | |||
4276円 | 6360円 | 33%割安 | ||
5 | 【会社名(コード)】リコー(7752) | |||
1295円 | 2715円 | 521%割安 | ||
6 | 【会社名(コード)】三井物産(8031) | |||
1741円 | 3295円 | 47%割安 | ||
7 | 【会社名(コード)】住友商事(8053) | |||
1471円 | 3295円 | 53%割安 | ||
8 | 【会社名(コード)】高島屋(8233) | |||
1171円 | 3295円 | 31%割安 | ||
9 | 【会社名(コード)】イオン(8267) | |||
1640.5円 | 2721円 | 40%割安 | ||
10 | 【会社名(コード)】三菱UFJ FG(8306) | |||
913.7円 | 1642円 | 44%割安 | ||
11 | 【会社名(コード)】三井住友FG(8316) | |||
5574円 | 1万565円 | 47%割安 | ||
12 | 【会社名(コード)】みずほFG(8411) | |||
266.8円 | 542円 | 51%割安 | ||
13 | 【会社名(コード)】NTT(9432) | |||
8697円 | 1万5872円 | 45%割安 |
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