今回の「Salon du Sake」の会場では、フランスを代表するソムリエ グザビエ・チュイザ氏が審査委員長となっている、フランス人によるフランス人のための日本酒のコンクール「Kura Master」の授賞式も初開催された。

 チュイザ氏自身から「日本酒は白ワインの脅威になる」とのコメントも飛び出した。同コンクールの審査結果はネットで見ることができるので、フランス人の味覚で選んだ日本酒の傾向を日本で確かめてみるのも面白いかもしれない。

愛するがあまりに
自分の国で“日本酒”を造る

スタッフの家族もお手伝い。試飲グラスはワイングラスとおちょこの2種類を用意した

 だが今回一番興味をひかれたのは、日本酒を愛するあまりに「自分の国で日本酒を造る」造り手が増えていることだ(日本で造るわけではないので、正式には「日本酒」ではないのだが)。

 既にフランスには2つの酒蔵があり、準備中の蔵も3つ。日本から米を輸入するだけでなく、フランスの米どころカマルグで、日本の酒米をあいがも農法で育てる造り手すらいる。

 これまで、アメリカや中国など需要の大きな国に、日本資本による日本酒工場ができたことはあったが、今回の流れはこれまでとは違い、日本の資本は入っていない。

 ただ、好きだから。それだけで皆、日本酒を造り始めているのだ。

 アメリカでも、クラフトの聖地ブルックリンに11月、アメリカ産山田錦を使って造るクラフト日本酒の醸造所がオープンする。

 日本酒を愛するメキシコの富豪が多額な投資をして造った日本酒蔵「NAMI」の酒は、日本でも驚きをもって迎えられた。

 日本の資本協力もなく、日本酒を造り始めた彼ら造り手に共通するのは、ただ一つ。「日本酒が大好き」という思いだ。

 実をいうと、日本酒の輸出が増えたといっても、例えば輸出先トップのアメリカへの輸出量は約5000klだが、アメリカ産日本酒の生産量はその3倍以上の1万6000klを超える。

 日本食ブームに沸いたアメリカや需要の大きい中国などでは、「輸出するより安いから」という理由で、昔から「現地生産」という手段で日本酒を作ってきた。