海外で「日本酒」が本格的に造られ始めた理由フランス・パリで10月7~9日に開催された日本酒イベント「Salon du Sake」

ユネスコの世界文化遺産にも登録された日本食が、“ライト&ヘルシー”の代名詞として海外に広がる中、日本の国酒「日本酒」も世界に静かなブームを巻き起こしている。訪日外国人観光客が伸長するなか、「日本酒」のプレゼンスも拡大。「飲みたい」「知りたい」「学びたい」から、さらに大きな“日本酒愛”へと発展し、外国人が自国で「sake」を造る動きが生まれている。(取材・写真・文/ジャーナリスト 芳賀 真)

和食とともに世界に広がる日本酒
フランスで開催されたイベント

 イタリアの中華料理店に「サケ」があったので頼んでみたら、出てきたのは中国製の蒸留酒「白酒」だった。アメリカでは、おちょこに入った日本酒をビールに落とす「サケ・ボム」を見て、悲しくなった。

 日本酒といえば「あつあつに温めて飲む酒」と思われていることも多い。でもこれはすべて過去のお話。和食が世界に広がるにつれ、ようやく正しい日本酒が海外にも伝わるようになってきた。

 財務省関税局のデータによれば、昨年の清酒輸出金額は前年比11%増の156億円、輸出数量も9%増と、7年連続で過去最高を記録した。輸出先トップはアメリカ、次いで香港だが、ヨーロッパへの輸出も2ケタ増、なかでもフランスは母数こそ少ないながら4割増と伸長した。

 10年前と比べると、3倍以上に拡大している。そんなフランス・パリで10月7~9日に開催された日本酒イベント「Salon du Sake」でも、「日本酒新時代」の到来をひしひしと実感することとなった。

 4年前の初開催時にはわずか50アイテムほどだったのが、今年は350アイテム以上が出展された。来場者は3日間で4000人を超えた。主催するフランス人ユエ・シルヴァンさんは輸入元でも販売元でもなく、日本酒を世界に広げたいという熱い想いだけでこのイベントを続けている。