これに加えて、政府は消費増税の景気への悪影響を和らげるため、中小店でのキャッシュレス決済分に対するポイント還元制度や、住宅購入者や自動車購入者への補助制度などを検討しています。さらに、国土強靭化対策として、公共投資の増加が見込まれます。これらの金額は現時点では未定ですが、予算措置では正味の経済効果として2~3兆円規模の支出が期待できます。

 建設労働者不足や資材価格の高騰などの影響を受けるため、実際の公共投資は19年度では1兆円程度上積みになると見込まれます。消費税増税は2019年の秋に行われますので、年度ではマイナス効果は半年分の1兆円程度となると見込まれ、公共投資の1兆円の追加支出とほぼ釣り合う形が想定されます。

 つまり、来年の消費税増税の影響は、期待通りの政策運営が行われれば、かなり小さいものとなると言えそうです。また、2020年度についても政府は予算手当を行うと見られますので、やはり影響は相殺されると見ることができそうです。

スムーズな導入が望まれる
「インボイス方式」への移行

 さて、消費税率引き上げに注目が集まる中、実は中小企業にとって大変大きな変更が行われることをご存じでしょうか。それは税金計算のベースとなる証票制度がインボイス方式に変わることです。

 軽減財率の導入によって、消費税率は10%と8%の2つになります。事業所は仕入れを行った時に払った税率がいずれなのかを明確にした上で消費税の還付請求を行いますが、その新しい売買記録方法がインボイス方式と言われるものです。

 これが2023年10月から実施されることになり、インボイス方式を導入しない事業所は消費税の還付を受けることできないため自分で消費税を負担する必要が生じますし、インボイスを発行しない事業者から物を買うことを控える事業者が多数に及ぶと見られます。

 年間売り上げが1000万円以下の小規模事業者は、現在、消費税の申告・納税が免除されていますが、この免税事業者は今後、インボイス方式に切り替えないと事業継続が危ぶまれることになります。日本には個人と法人を合わせて500万の免税事業者がいると見られ、その事業継続のためにもインボイス方式の本格導入が混乱なく行われることが期待されます。

(三井住友アセットマネジメント 調査部長 渡辺英茂)