新聞報道によると、財務省は7日、軽減税率を飲食料品に導入した場合の減収額を8つのケースについて公表した。今後自民党・公明党の税制協議会で具体案を議論するという。軽減税率について筆者はこれまでたびたびこの欄でも取り上げてきた。政治論としての必要性はわからないでもないが、きわめて効率の悪い政策であることは、第34回第44回などで述べてきたので、重複は避ける。ここで取り上げたいのは、税務当局や事業者を悩ませている、ファストフード店などにおけるイートイン(レストランサービス)とテイクアウト(食料品扱い)の線引きの難しさという問題である。

価格表示の混乱

 筆者は今年3月、英国、ドイツ、フランスの3ヵ国を回り、消費税軽減税率の導入状況を見てきたが、ファストフード店でのテイクアウトとイートインの区分、価格表示は混乱している、というのが率直な印象だった。以下、写真を見ながらその問題を指摘したい。

 写真1は、英国のスターバックスの価格表示である。常に食品には2つの表示がなされている。

欧州で見てきた消費税軽減税率の現実 <br />とても煩雑!テイクアウトと店内食の区別右下の上段がイートインの価格、下段がテイクアウトの価格。これが基本形

 上段が、イートインの場合の値段、下段が持ち帰りの場合の値段である。持ち帰りは、英国ではテイクアウェイというが、本稿ではテイクアウトということとする。テイクアウトとなれば、ゼロ税率となるがイートインでは20%の通常税率が課せられる。双方の値段の差額はその20%の消費税額である。これが基本である。