「テレビ見て取材する方法も」呆れた役員発言

 さらに、社員らの怒りの火に油を注いだのが、松木氏が団体交渉中に発した「(突発的に発生する事件は)テレビを見て取材する方法もある」、「発表モノで県版を埋めてもいい」という発言だ。

 社員からは「現場発の独自の記事を書こうと日夜取材に励む記者をあまりにバカにしている」、「報道機関の役割を根底から覆す発言だ。当局発表の裏を取ったり、当局が発表しない事実を見つけたりすることが新聞の使命なのに」といった非難が殺到し、松木氏は釈明に追われた。

 戦後の日本の報道を支え、優れた報道に贈られる新聞協会賞編集部門の最多受賞歴を誇る毎日新聞はどこへ行くのか――。

 現実解として、選択と集中を進めざるを得ないだろう。

 ある中堅記者は、「無計画な採用の結果生まれた逆ピラミッド型の社員構成では上が詰まっていて絶望感しかなかった。特に、働かないのに自分より給料をもらっている一部ロートル記者の退場は大歓迎」と言ってはばからない。一方で、「今は希望の部署でやりたい担当につけているから我慢しているが、経営状況、組織運営からしてこの会社に未来はない。次の異動先次第では、転職できるよう準備をしている」と話す。

 あるOBは「規模や給与水準で他の全国紙に肩を並べようという意識を捨て、ジャーナリストとしての働き甲斐を提供する会社と言い切るべきだ。意識の高い記者の集団になれば部数が下げ止まり、精鋭だけが残ることで給料も上がるかもしれない」と抜本改革の必要性を強調する。

 朝日新聞、読売新聞と比べて記者の待遇は「7掛け(0.7倍)」と言われ続け、以前から記者の流出が多かった毎日新聞。改革を先送りする組織で記者を続けることに絶望し、他の大手新聞社、テレビ局などへの流出が近年さらに加速している。

 とはいえ、創刊147年の毎日新聞にはコアなファンがいる。読者の期待に応えるために大改革が必要なことは間違いない。そして改革を断行する機会はそう多く残されていない。

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