紙の部数が減少し、デジタル版も順調でないのは、新聞業界全体の課題でもある Photo by Satoru Okada

 朝日新聞社が年初に労働組合に示した、2017年4月からの年収引き下げ案。現在の平均年収1275万円を段階的に引き下げ、1115万円まで減らすというものだ。

 無理もない。朝日は14年、いわゆる従軍慰安婦報道や、東京電力福島第1原子力発電所の事故対応をめぐる「吉田調書」報道で批判を浴びた。販売部数はABC協会ベースで、同年9月の721万部から15年12月には662万部へと約60万部減少しているからだ。

 また、年収の引き下げに先立って、今年1月から40歳以上を対象に、退職金とは別に年収の40%を最大10年分一括支給する早期退職者の募集を開始した。

 だが、朝日の早期退職制度には苦い経験がある。それは、10年に実施した早期退職制度で、「45歳以上を対象に年収の50%、最大10年分を毎年支払い続けるという破格のもの」(関係者)。元東京本社編集局長の外岡秀俊氏や、政治部出身で論壇誌「論座」編集長を務めた薬師寺克行氏らエース級が退社する一方で、「仕事をしない高齢の記者ばかりが残った」(別の現役記者)という。

 さらに一連の問題以降、「経営陣は訴訟や右翼団体とのトラブル回避にきゅうきゅうとし、際どい記事がますます紙面に載らなくなった」(「朝日新聞」関係者)。