ときには、俺が正しいときでもぶちのめされた。11歳のとき、町角でサイコロばくちをやっていた。相手は18歳くらいだった。その日の俺は絶好調で、仲間たちも俺が勝つ側に賭けていた。俺は200ドル賭け、6回連続で自分の数字を出していた。もう相手から600ドルむしり取っていた。

「もう1回だ。腕時計を賭ける」と、相手は言った。

 ドカーン、俺は“4─5─6”を出した。

「まあ、よくあることさ」俺は言った「よこせよ、腕時計」

「いいや、何もやる気はない」と相手は言い、俺の勝ち分をひっつかもうとした。俺はそいつに噛みついて、石で殴りつけた。おふくろの友達が騒動を見かけ、アパートに駆け込んだ。

「あんたの息子が大人と喧嘩しているよ!」と、1人が言った。

 おふくろが怒って駆けつけた。俺に飛びかかって両手をつかみ、平手打ちして、投げ飛ばす。

 彼女は怒鳴った。「この人に何をしたんだ? 本当にすみません」と、彼女は男に謝った。

「こいつは負けたくせに、カネを取り返そうとしたんだ」と、俺は主張した。

 おふくろは俺のカネを取り上げて、男に渡し、俺の顔を平手打ちした。

「本当にすみません」と、彼女は謝った。

「殺してやる、この野郎!」おふくろに引き離されながらも、俺は叫んだ。

(続く)

真相 マイク・タイソン自伝

マイク・タイソン 著/ジョー小泉 監訳/棚橋志行 訳

<内容紹介>

少年院で天才トレーナーに見出され、史上最年少ヘビー級チャンピオンへ。その後無敵を誇るも数々のトラブルを巻き起こしついには刑務所入り。金も名誉も失った男の元に幼い娘の死という悲報が。タイソンはこの悲劇をきっかけに真人間への再生を決意する。伝説のアスリートが人生の真実を語り尽くした感動の自伝!