Internet of Things――モノのインターネットと言われるIoTが大きな関心を集めている。今まで単体で動いていたモノがインターネットにつながることでどんな変化が起きるのか。それはビジネスにどのような影響をもたらすのか。わかりやすい事例を交えながらその本質的な意味を考えてみたい。

段階を踏みながらも
急速に進化するIoT

 モノがインターネットにつながるという意味では、PCもスマートフォンも同じだ。これもIoTの形態の一つと考えていい。そのIoTがなぜ今これほど注目されるようになっているのか。背景にはセンサーとITの進化がある。データを集めるセンサーが安くなって多様化し、データの処理技術が高度化したことで、データを受発信できるモノが増えて、できることが大きく広がっているのだ。

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ダイレクター
佐藤有紀子氏

「IoTは、インターネットの普及やPCが1人1台になったときと同じような大きなインパクトを社会に与えていくと考えています。今後自然な流れでIoTが浸透し、IoTからのデータを利用することが当たり前の世の中になっていくでしょう」とインテルの佐藤有紀子氏は語る。

 IoTの進化は段階的に進んでいく。まずモノがインターネットに接続される。これが“モノのインターネット”と言われるIoTのもっとも原始的な形態だ。次の段階ではモノ同士が会話するようになる。自動車に搭載したカメラで歩行者を検知して、自動的にブレーキをかけるという事故防止機能などはその代表例だ。

 そして次には、モノが自律的に動くようになる。行き先を告げれば目的地まで運転してくれる自動運転がそうだ。そして最終形は完全自動化。「人が気がつかないところでモノが動いていて、IoT自体は透明化してしまいます」と佐藤氏は解説する。人間はIoTに囲まれた世界で生活するようになる。

 こうした変化は当然、ビジネスの世界にも大きな変化をもたらす。今まで人がデータを集めて判断していたようなことを、モノが肩代わりするようになれば、企業として競争優位を生み出すポイントも変わっていく。