業種の壁を越えて
データが企業をつなぐ

 IoTの活用が期待されるビジネス領域は小売業だけではない。製造業では工場の自動化に使われ、エネルギーでもスマートメーターなどでIoTが活躍する。交通の分野でもバスやトラック、航空まであらゆる場面でIoTが活用される。

「IoTによって製造から物流、小売りまで業界業態の枠組みを越えてデータが流れることで、今までサイロ化していたそれぞれのビジネスがつながり、大きな変化が生まれてきます。小売りのPOSデータから必要な情報を取り出し、それをクラウドで解析して製品開発に迅速に反映することで、適正な商品供給に結びつけるといったことが可能になります」

 すでにこうした変化は起きつつある。例えば、ニットなどの編み機を製造する島精機製作所では、精細なサンプルを紙にプリントできるオンデマンド生産システムを開発。商品企画から販売までの業務をバーチャルでカバーし、スピーディな多品種少量生産を可能にした。

「このシステムを使うことで、多くの不良流通在庫を抱えるアパレル業界の課題を解消し、店舗での販売機会の損失防止にもつながります」と佐藤氏はその意義を語る。このシステムのサーバーにはインテルの半導体が組み込まれている。

 現在、インテルは多くの装置メーカーやIT企業、ユーザー企業とIoT関連のビジネスに取り組んでいる。「当社の強みは幅広い業種業態の企業との付き合いがあることです。それぞれの分野のエキスパートが、多くのパートナー企業と新たなソリューションを開発しています」と佐藤氏は語る。全世界で事業を展開している企業だけにグローバル対応も得意とするところだ。

 IoTの活用は確実に広がっていて、ある時点で一気に爆発的に普及すると予想されている。佐藤氏は「個人はすでにIoTの恩恵を享受し始めています。社会としては動き出しているのです」と話す。IoTへの取り組みは待ったなしの状況にあるといえそうだ。

 しかし、「どこからIoTを始めればよいのかわからない」と感じている企業も多いのが実状だ。だからこそ、幅広いネットワークと豊富な実績を持つインテルに相談してみるというのも一つの選択肢になるだろう。