夏休みを間近に控え、旅行シーズンに突入した。震災による落ち込みから回復、円高でお得感のある海外のみならず、避暑地をはじめ国内旅行も人気を呼んでいる。夏から秋の旅の動向を探ってみた。

 

 東日本大震災による自粛などが要因となり、一時低迷した旅行市場だが海外旅行に限れば早い段階で回復した。今夏も引き続き電力不足による節電が行われているが、昨年から企業の夏期休暇に長期化や分散化する傾向が見られるなど、旅行事情も様変わりしてきている。

中長期の旅行を企画販売
ペットを同伴できる宿も

 旅行会社各社は、国内・海外とも中長期滞在型のツアーや宿泊プランを企画、販売している。例えば、JTBガイアレックは1週間から1ヵ月間滞在できる国内中長期宿泊プランを発売。シニア向けに3世代でも泊まれるコンドミニアムを利用するプランを揃えている。「犬や猫などペットがいるので旅行は難しい」という声に応えて、ペット受け入れ可能な宿泊施設もそろえた。

 また、長期滞在中に旅先でも子どもが勉強できるよう、元教師や現役大学生が宿題サポートをするなど、従来の旅行商品には見られなかったユニークなサービスを導入し、新たな需要を掘り起こそうとしている。

 海外旅行も日数を長めに設定したコースが昨年からお目見え。ハワイなどリゾートを中心にマレーシア、台湾など、アジア方面にも拡大してきている。日本旅行は、「旅行先でゆったり、のんびり楽しむ」をコンセプトに、通常より1~5日長いコースをハワイや韓国、タイなどで設定し、ウェブ専用商品としてホームページで販売中だ。

キーワードは「ゆとり」
プレミアム感のあるツアー

「安・近・短」が人気といわれてきた近年の旅行トレンドだが、最近は「ゆとり」が新たなキーワードに加わった。先述したように旅行期間が長くなっているのもゆとり旅の一例ではあるが、宿や交通手段などの一つひとつのパーツにこだわる高級感のあるツアーが登場し、注目を集めている。

 JTBが創立100周年を記念して発売したハイクラスなツアー「新・日本の旅情 琥珀」は、宿泊は老舗旅館や高級リゾート、有名シェフが作るぜいたくな料理を味わい、寝台特急カシオペアやハイヤーを利用するなど、ワンランク上のプレミアム感のあるツアー。数あるコースの中でも日本初のA寝台特急カシオペアで北海道を訪ねる二つのコースの人気が高い。夕・朝食をダイニングカーで味わえるというのも魅力的だ。

 一方、海外旅行では、経験豊富なベテラン添乗員が同行し、こだわりを持って厳選したホテルと食事、移動もビジネスクラスを使うといった、ハイグレードなツアーを、旅行会社各社が企画・販売しており、旅慣れたシニアを中心に記念旅行などに利用されている。