教育学部は本当に教員への近道か?
第5位として紹介されたのは教育学部。小学校教員や教育学研究を志す人にとっては適した進路だが、中学・高校の教員志望者には必ずしも有利ではないと、CASTDICE Medicalの副塾長で「CASTDICE TV」のレギュラーメンバーでもある中橋大義さんは指摘する。
現在の教育現場では「専門性を持つ教員」が求められている。たとえば理学部で化学や物理を深く学んだ人材が、理科教員として採用されるケースが多い。単なる教育学部卒では「専門性が不足している」と判断される場合もあるという。
小林さんも「小学校までは子どものマネジメント能力が重要だが、中学以降では教科を専門的に教えられるかが問われる」と述べ、教育学部の選択には慎重さが必要であると語った。
医療系学部と地域枠の落とし穴
第4位に挙げられたのは「旨味の少ない地域枠の医療系学部」。医学部、薬学部、看護学部などに設置される地域枠は、18歳の時点で30代半ばまでのキャリアを縛られる可能性がある。
中橋さんは「人生の基盤を築く20代〜30代前半を固定化してしまう危険がある」と述べ、制度を十分理解せずに進学することは避けるべきだと強調する。小林さんも「地域枠そのものをあまり勧めていない」と語り、経済的理由以外での安易な利用には疑問を呈した。
薬剤師や看護師といった資格職であっても、地域枠による縛りが将来的なキャリア形成を制限する可能性は否定できない。制度を利用する場合は、相応の覚悟と将来設計が不可欠といえる。
国際系学部は時代に合っているのか?

第3位は下位の国際系学部。近年、人気が高まる一方で「専門性の欠如」が問題視されている。英語力の習得や異文化理解を目的とする学生は多いが、それだけでは就職やキャリアに直結しにくいと中橋さんは指摘する。
上位校の国際学部では英語力を前提に、海外での活動や国際ビジネスを学ぶカリキュラムが整っている。しかし偏差値帯の低い学部では「英語が少し話せる程度」で終わり、4年間を無駄にするケースも少なくない。
小林さんも「下位の国際系学部では英語が話せるようにはなりません」と明言。むしろ「英語を使って日本の歴史や文化を発信できる人材」が求められており、国際系学部を選ぶならその視点を持つ必要があると語った。
環境系学部と薬学部のリスク
第2位として挙げられたのが「専門性の低い環境系学部」。SDGsの流行もあり新設が相次ぐが、「環境」という言葉は定義が広すぎるため、学問領域が曖昧な学部も多い。
中橋さんは自身の研究経験を踏まえ、「生物学や地理学など明確な専門領域と結びついた環境学であれば有効だが、内容が漠然とした環境系学部は危険」と語る。小林さんも「偏差値がその質を物語っている」とし、慎重な見極めを求めた。
そして第1位は「国家試験に合格できない薬学部」。薬剤師免許取得が前提である以上、国家試験合格率の低い大学への進学は大きなリスクとなる。偏差値40前後でも合格率の高い大学が存在する一方、ボーダーフリーに近い薬学部では卒業すら困難な場合がある。
小林さんは「上位3分の1の薬学部を狙うのが安全」と助言。「選択次第で大きな差が出る」と強調した。
まとめ
進学先の学部選びは「偏差値」や「資格取得の実績」に直結するだけでなく、将来のキャリアをも左右する。チャンネルで取り上げられた5つの学部は、いずれも慎重な検討が必要であることが改めて示された。(次ページに解説動画あり)