豊島岡女子学園中学校の入試問題の特徴や傾向、頻出テーマと対策方法を科目ごとに徹底解明！【中学入試分析2024年】

豊島岡女子学園中学校について

　近年、東大合格者数や医学部進学者の伸びで注目され、「道義実践・勤勉努力・一能専念」の教育方針のもと、「志力を持って未来を創る女性」の育成を目指しています。2022年から高校募集を停止、受験日程が複数回あり、併願希望者も増えています。

　学校生活では、集中力を養う心の鍛練として、布を赤い糸で縫い進める「運針」を毎朝5分間実施するほか、中1で礼法・マナーを学べるのも特色です。

　クラブ活動ではコーラス部や百人一首部、珠算部などが全国大会で活躍しており、全国女子高唯一の阿波踊り部の「桃李連」や洋裁部など、他校にはないクラブ活動も人気です。

　学習面では、スーパーサイエンスハイスクール（SSH）指定校として科学的思考や課題解決能力の養成に努め、国際性を育む海外研修などの多彩な学習環境も整っています。さらに、放課後の実力養成講座の無料開講をはじめ、有料の夏期・冬期・直前講習によるきめ細かい指導で進学実績を高めています。（松井誠：TOMAS教務企画局　教務本部）

※参照: 豊島岡女子学園中学校・高等学校のHP

豊島岡女子学園中学校の入試分析

国語の入試分析

傾向：長文2題の「読解力」が試される

　制限時間50分、評論文・小説文各1題が出題され、両文章とも3500字を超えて比較的長文の傾向がある。5択の内容理解の選択肢問題が中心で、加えて70字前後の記述問題が各大問で1問出題される。知識問題は、文章本文中の漢字の書き取り読み取り・語句の空欄補充が設問として出題され、標準的な難度である。

出題：本文を正確に読み取れたか

　大問1評論文は約3500字、大問2小説文は約3700字で例年通り長めの文章量。大問1は宗教・哲学が、人間が言語化した「物語」だと分かるかどうかで複数の設問で差がつく。大問2は2場面の時間軸が逆転しており、それを踏まえて人間関係と心情を押さえられたかで差がついたと考えられる。50分で完答できたかもポイント。

対策：正確な読み取りと選択肢の絞り込み

　対策としては、比較的長めの文章が2題出題されるため、日頃から長文の読解問題を演習し、速読ができるようにしておくこと。長文のため、評論文は「筆者が何を伝えたいのか（論旨）」を意識して読むこと。小説は心情理解を心がけ、記述解答に反映できるよう演習すること。また5択の選択肢問題が設問の中心となるため、本文を正確に読み込んで、消去法だけではなく「本文に根拠を持った正答選択肢の絞り込み」のトレーニングを重ねること。

算数の入試分析

傾向：典型問題が多く、高得点を目指せる

　例年、難関校としてはごく標準的なレベルの小問集合、割合・平面図形などの問題が続き、後半で規則性などの思考力問題、立体図形の問題が出題される。後半の大問でやや時間がかかる小問があるので、それらを解く時間を確保できれば他教科で失点してもカバーするだけの得点を期待できる。

出題：後半への時間確保が高得点への近道

　大問3の速さは、（1）で正確な進行グラフを描くことでリードを取りたい。大問4の「前の結果の利用」は、類題を経験した受験生が多く、失点が後に響く。大問5の平面図形の（3）は難問だが、（1）（2）の存在意義を感じさせる良問である。大間6の立体切断は、立体内に平行な補助線を引くことで典型問題に変換できる。

対策：志望順で変わる対策

　本校を第一志望とする場合、本校入試問題を苦にせず解き切るライバルに勝つために、後半の思考力問題・立体図形の問題までの過去問レベルの問題演習を重ねたうえで、2/1校で合格を手にして入試当日を迎えたい。また、併願校とする場合は、2/1の第一志望校対策を優先しつつ、小問集合の問題を素早く正確に全問正解するレベルの基礎力を身につけておけば、確実に合格を手にすることができるだろう。

社会の入試分析

傾向：スピード重視の知識問題

　理科と合わせて50分の制限時間で大問3問、歴史・地理・公民の各分野の問題を解く。小問数は25問と固定され、1問2点の配点である。内容は基礎的な知識問題が大半で、記述問題も1～2題出題される。地形図の読み取りの問題は頻出で十分な対策が必要。確実な知識でスピーディーに問題を解き進めたい。

出題：例年通りのオーソドックスな問題

　歴史は記述問題が最初に出されたが、あとは選択肢問題と用語の問題で、難易度も例年通り。地理は、地形図の読み取り問題に始まり、写真やグラフ・図などの資料を読み解く問題が多く出題された。公民は、「こども家庭庁」など時事的な内容も問われているが、本校受験生は準備できていたのではないだろうか。

対策：知識を確実にして8割以上の得点を

　出題内容の中心が知識の有無を問う問題なので、まずはテキストレベルの知識を正確に身につけることが第一である。地理は統計資料や地形の特色、地形図の読み取りに注意が必要。歴史は用語の漢字表記に注意。公民は憲法を中心に、日本の統治機構をしっかり押さえておきたい。例年3回の入試があり、最近の入試問題が数多く入手できるので、過去問演習を多くこなすことで、解答スピードを身につけるようにしたい。

理科の入試分析

傾向：バランスの取れた出題

　例年4分野から均等に、知識、実験・観察、計算がバランスよく出題されている。試験時間は社会と合わせて50分であり、高い処理能力が求められる。標準問題中心で構成されているが、中には高い思考力・計算力が要求される出題も散見されるため解答の取捨選択、時間配分には留意したい。

出題：物理・化学の冷静な選択肢吟味が鍵

　大問1は、ヘリウム風船に気体中で働く浮力、大問2は2種類の中和実験の組み合わせ、大問3は蒸散を含む植物の問題、大問4は月の動きと月から見た地球の満ち欠けの出題であった。大問3-4の知識問題はミスなく手早く解き進め、大問1は誘導に従って冷静に選択肢を比較し、大問2の実験問題への時間を残したい。

対策：4分野偏りない基礎固めを

　4分野より偏りなく基本から応用まで網羅した問題で、試験時間に対して問題数が多く、素早く判断し解答していく高い処理能力が求められる。6年の夏までに単元学習を済ませ磐石な基礎力を固めておきたい。特に物理・化学においては、実験・観察に関する問題や計算問題など、高い思考力・計算力が要求される出題が多く見られるため、本校だけでなく他校の過去問も含め実践的な演習を数多くこなしたい。

豊島岡女子学園中学校の進路・入試情報

豊島岡女子学園中学校の進路情報

　豊島岡女子学園中学校は、中高一貫校であるため、ここでは豊島岡女子学園高等学校の2024年度の大学入試の結果を掲載しています。

※参照: 豊島岡女子学園中学校のHP

豊島岡女子学園中学校の入試情報

豊島岡女子学園中学校の入試日程・科目

豊島岡女子学園中学校の受験者数・合格者数

編集協力＝福崎剛・フリーライター