慶應義塾中等部について
入試の特徴として、2次試験で面接・体育実技があります。同校は男女共学で、幼稚舎からある慶應義塾大学の一貫教育校として知られていますが、高校からは男女に分かれて進学します。「自立した個人を育む、自由な教育」を基本理念に掲げ、授業・行事・校友会(クラブ活動)を重視しています。
語学の授業ではネイティブスピーカーと日本人の教員が一緒に指導にあたり、国語・数学演習や技術・家庭科ではクラスを2つに分けた少人数制を採用しています。選択授業では、専門性の高いテーマから興味のあるものを選ぶことができ、大学の教員から直接学べる機会があるのも魅力です。
将来、慶應義塾大学へ進学する生徒たちには、六大学野球リーグの早慶戦の応援や、英国研修旅行をはじめとするさまざまな行事を通じて愛校心や愛国心、グローバルな視野を育む環境が用意されています。また、校友会活動も盛んで、運動部と学芸部(他校でいう文化部)の両方を兼部する生徒も多く、上級生や下級生たちとの交流の広さは後の人脈づくりにつながります。(松井誠:TOMAS教務企画局 教務本部)
区分 | 私立 |
---|---|
男女校種別 | 共学校 |
入試日 | 一次試験 2/3 二次試験 2/5 |
住所 |
〒108-0073 東京都港区三田2-17-10 |
アクセス |
〈電車〉
〈バス〉 |
公式HP | 慶應義塾中等部のHP |
※参照: 慶應義塾中等部のHP
慶應義塾中等部の入試分析
国語の入試分析
傾向:国語の素養が問われている
例年、読解問題2~3題、知識問題2題程度、漢字の独立題(15~20問)で構成。読解は平易な随筆文や物語文が多く、俳句や詩が出題されることも。選択形式が主で短い記述が1問出る。知識では漢字、慣用句、言葉の使い方、手紙の書き方、文学史など多岐にわたる国語の素養が問われ、準備次第で差がつく。
出題:文法の正確な理解が求められた
読解は、物語文、説明文、随想の3題。物語文と説明文の設問は例年通りの平易な選択と短い字数の記述1題に、時折出題される抜き出し1題が加わった。随想では読解より、文学史や語句、表現技法等の幅広い知識が本校らしく掘り下げて問われた。文法の独立題も出題され、用法の違いの正確な見極めが鍵となった。
対策:楽しみながら、貧欲に知識を蓄えよ
本校の対策としては、まず本校の過去問に触れ、その傾向を体感することをお勧めしたい。素早く解答を決定する決断力や、豊富な知識が必要であることを実感できるであろう。その上で、時間を細かく区切っての読解演習や、知識の習得に取り組むとよい。特に後者については、受験用の参考書のみならず、国語便覧や歳時記、年中行事や礼儀作法に関する本、古典など幅広く触れ、日本語の豊かさを味わい、楽しみながら知識を身につけよう。
読解問題 頻出テーマ ベスト3:
1位 人としてどう生きるか
2位 文化と学問
3位 友人
算数の入試分析
傾向:小問メインの速読即答型
例年、大問6~7題で計20問前後の問題構成。大問1・2は計算と文章題、大問3は長さ、角度、面積、体積などを求める図形の基本問題、大問4以降は速さ、数の性質、水位変化、場合の数など。ほとんどが標準レベルの難易度だが、問題数が多く、限られた時間でいかに正確にミスなく解くかが合否を決める。
出題:幅広い標準問題を高速攻略
本年も例年通りの問題構成。大問1・2は計算と文章題(数の性質、場合の数、縮尺、割合、速さなど)、大問3は平面図形の基本問題と回転体(円錐台)の体積。大問4は数列、大問5は水量変化、大問6は図形の思考力問題。ラストは攻略に時間がかかる難問だが、全体的には難易度は例年よりやや低めである。
対策:スピードと時間を意識した徹底演習
45分で約20問と、1問の解答にかけられる時間が短いのが本校の特徴。徹底したスピードトレーニングが欠かせない。四則混合計算から図形まで、幅広い標準レベルの問題を時間配分に注意して、早く正確に解く習慣をつけておきたい。わずかなミスも許してはいけない。また、解答形式も特殊なので、過去問を使って、解答用紙の使い方(マス目の数字の入れ方など)を入試前に必ず練習しておく必要がある。
算数 頻出テーマ ベスト3:
1位 割合と比
2位 平面図形
3位 場合の数・条件整理
社会の入試分析
傾向:即断即決型の選択問題中心
基本問題中心の出題であるが、設問数の多さから時間に追われる展開となる。ニュースで取り上げられている話題や、日本文化・生活文化に関する出題、創立者に関する問題も見られる。記述問題の難易度は標準レベルで、テキストや模試の典型問題に見られるものが多い。
出題:基本知識の徹底
選択問題中心で、一部に短答式・短文記述が2問、地図に記入する問題が1問。大問1は日本と外国との歴史、大問2は地震に関する融合問題、大問3は円安・ドル高、大問4は東北地方の地理、大問5は発展途上国が出題された。基本知識中心に問われるが、ニュースで取り上げられる話題や用語の出題も見られた。
対策:基本知識とニュースで即断即決
本校の難度は決して高くないので、1点をめぐる高得点での争い。テキストで知識をインプットし、複数の問題集でアウトプットする反復練習に取り組み、基本知識を徹底的に習得する必要がある。また、時事問題は、ニュースを見ていれば解答できる平易なものばかりなので、普段からニュース番組などを視聴して、家族で話し合うことなどがそのまま対策となる。基本知識、ニュース、即断即決(スピード)が合格のポイントである。
社会 頻出テーマ ベスト3:
1位 中世・近世(鎌倉~江戸)
2位 近代・現代(明治~令和)
3位 原始・古代(旧石器~平安)
理科の入試分析
傾向:幅広い知識が問われる
例年ほとんどの出題が記号選択問題であるが、本年は10字以内の記述問題が1問見られた。標準的な知識を問うものが多いが、かなり細かい知識を問うものも見られる。難問奇問はほとんどなく、複雑な計算問題も見られない。問題数に対して試験時間が短いので、素早い判断が求められる。
出題:知識問題の占める割合が高い
大問4題構成で知識問題の占める割合が高い。大問1は夏と冬の大三角を中心とした星と星座に関する知識問題(昨年も夏の大三角について出題された)。大問2はプラスチック。知識と表の読み取りがポイント。大問3は電磁石。電流と磁界の関係の理解を問う内容。大問4は生物を中心とした総合問題。
対策:正確な知識を身につける学習を
本校の理科を攻略するためには、すべての単元についての知識を確実に身につけることが絶対条件である。生物分野を中心に、やや細かい知識についての出題も見られる。正確な知識の定着に力を入れて欲しい。入試直前期には、知識の抜けが無いかの最終チェックをしっかり行いたい。さらに、短い時間で確実に正答するための実戦的な練習も必要である。過去問などを利用して、時間を意識した問題演習も行っていただきたい。
理科 頻出テーマ ベスト3:
1位 星座と星の動き
2位 いろいろな植物・季節と植物
3位 豆電球・回路
慶應義塾中等部の進路・入試情報
慶應義塾中等部の進路情報
慶應義塾中等部は、慶應義塾の一貫教育校であり、慶應義塾高等学校・慶應義塾女子高等学校・慶應義塾志木高等学校・慶應義塾ニューヨーク学院高等部のいずれかに進学後、卒業生のほとんどが慶應義塾大学に推薦されます。ここでは主に、国内各高等学校の2023年度の慶應大学への学部別推薦人数を掲載しています。
慶應義塾大学 学部 |
人数 |
---|---|
文学部 | 9 |
経済学部タイプA | 139 |
経済学部タイプB | 70 |
経済学部PEARL | 1 |
法学部法律学科 | 112 |
法学部政治学科 | 112 |
商学部 | 70 |
医学部 | 22 |
理工学部 | 86 |
総合政策学部 | 11 |
環境情報学部 | 22 |
薬学部薬学科 | 2 |
※その他の進路は14名。
慶應義塾大学 学部 |
人数 |
---|---|
文学部 | 12 |
経済学部 | 60 |
法学部法律学科 | 27 |
法学部政治学科 | 27 |
商学部 | 16 |
医学部 | 5 |
理工学部 | 24 |
総合政策学部 | 14 |
環境情報学部 | 17 |
看護医療学部 | 5 |
他大学 | 人数 |
---|---|
北里大学医学部 | - |
秋田大学医学部 | - |
帝京大学医学部 | - |
千葉大学医学部 | - |
福井大学医学部 | - |
東京慈恵会医科大学医学部 | - |
順天堂大学医学部 | - |
慶應義塾大学 学部 |
人数 |
---|---|
文学部 | 10 |
経済学部 | 80 |
法学部 | 74 |
商学部 | 18 |
医学部 | 7 |
理工学部 | 40 |
総合政策学部 | 1 |
環境情報学部 | 3 |
薬学部 | 1 |
他 | 1 |
※参照: 慶應義塾高等学校・慶應義塾女子高等学校・慶應義塾志木高等学校
慶應義塾中等部の入試情報
慶應義塾中等部の入試日程・科目
偏差値 |
男子 65 ※参照: 四谷大塚 |
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入試日程 (2025年度) |
<募集人数> 男子 約120名
<出願(インターネット)・入学検定料支払>
<出願書類の郵送>
<入試日程> 一次試験 2025年2月3日(月)
一次試験 2025年2月4日(火) |
入試科目 (2025年度) |
4教科(合計300点) 国語(45分/100点) 算数(45分/100点) 理科(25分/50点) 社会(25分/50点) |
※参照: 慶應義塾中等部のHP
慶應義塾中等部の受験者数・合格者数
2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | |
---|---|---|---|---|
募集人員(人) |
男子 140 女子 50 |
男子 140 女子 51 |
男子 120 女子 50 |
男子 120 女子 50 |
出願者(人) |
男子 1026 女子 496 |
男子 1012 女子 475 |
男子 856 女子 448 |
男子 861 女子 454 |
受験者(人) |
男子 891 女子 395 |
男子 891 女子 372 |
男子 697 女子 352 |
男子 722 女子 349 |
合格者(人) |
男子 158 女子 62 |
男子 140 女子 60 |
男子 135 女子 58 |
男子 142 女子 56 |
実質倍率(倍) |
男子 5.6 女子 6.4 |
男子 6.4 女子 6.2 |
男子 5.2 女子 6.1 |
男子 5.1 女子 6.2 |
※森上教育研究所作成資料より。共学の中学に関しては、男女別の定員が発表されていない場合、
募集定員を前年在籍者の男女割合で按分した数値を掲載。
編集協力=福崎剛・フリーライター