「MARCH」でも分かれる対応   

――MARCH(明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大)というくくりが大学入試で使われるようになってから20年ほどがたちます。

井沢 MARCHも系属・付属校といった系列校を増やしてきたので、一般選抜での合格者数は今後減っていくと思います。そうした中で、少子化とはいえ、まだまだ一部では難化する可能性もあります。 

後藤 志願者数が多いと、時間をかけて総合型選抜ができないこともあり、系列校を増やしていくことになりました。MARCHのくくりの恩恵を受けて受験者数が増えたのは明治大と法政大です。いかに大学のステータスを上げるかを考えて取り組み、それに伴って受験者数も増えました。青山学院大(16位)や立教大(12位)は立地の良さで一般選抜の受験生は集まりますから。

――その点、10位の中央大は微妙ですね。法学部は文京区の茗荷谷キャンパスに移り、新たに健康スポーツ科学部と農業情報学部の二つを設立する動きもあるようですが。

後藤 地方に行くと、明治大は知っていても中央大を知らない人たちがいます。中大法学部の威光はいまや限定的です。

井沢 中央大は国際系の学部を二つ(国際経営学部、国際情報学部)つくったものの、受験生にグローバルというイメージを訴求しきれていない感じです。一方で、高度なデジタル・グリーン人材の養成に向けて文科省が進める「大学・高専機能強化支援事業」に、健康スポーツ科学部と農業情報学部の2学部の新設が選定されています。今後の人材養成に期待したいところです。

後藤 そもそも留学生がそんなにたくさんいるわけでもない。多摩のキャンパスはスカスカになっているはずです。中央大こそ、東京にAPU(立命館アジア太平洋大)のような大学をつくればいいと思いますが。

 全般的にMARCHは早稲田のような多様性に欠けますね。これからの日本の在り方を考えたら、多様性の充実は必須です。MARCHには大学業界を引っ張っていってほしいと思うだけに、その点においてはもっと力を入れてほしいところです。

――例えばどのような点でしょうか。

後藤 グローバル化の中での多様性では、明治大はまだまだ学生を海外に送り出す段階で、海外から迎え入れるにはもう少し時間がかかりそうです。

 とはいえ、アメリカのトップ大学に送り出した学生は優秀な成績を収めていますし、アジアにおいても拠点づくりが成功していますから、グローバルの進展には大きな期待がありますね。法政大も海外留学の学内奨学金が充実していますが、海外からの学生受け入れはこれから本格化していくのでしょうね。

 立教大と青山学院大には、もっと積極的に地方出身の学生を増やしてほしいですね。そのための選抜方法を積極的に展開してもらいたいところです。

(続く)