アイデアを評価基準に照らし
集約するプロセスを見える化
2回目の授業では、生徒各人で考えてきたアイデアを、5人一組のグループで共有し、互いに評価し合い、「新規性」「有効性」「実現可能性」を評価基準として、グループを代表するアイデアを一つだけ選ぶプロセスまでを学習した。
こうしたグループワークの際に、意識や思考の共有化をサポートするのがi.schoolが開発したオンライン付箋ツール「APISNOTE(エイピスノート)」(図2)だ。
一つの画面上で各人が分析した内容をニーズとシーズに分けて掲示し、その真ん中にアイデアを置いてそれぞれを線でつなぐ。各人の分析やアイデアが出そろい、意見を出し合うことで、ニーズとアイデア、シーズとアイデアをつなぐ線が錯綜していく。
山岡氏は「グループワークでは、相手の意見に耳を傾け、共感と理解を示すことが求められます。APISNOTEでみんなの意見や意見交換の流れ、意見集約に向けてのプロセスが見える化されて記録として残るので、グループ活動の解析にも役立ちます」と言う。
授業の最後には、プレゼンテーションの時間が設けられた。代表者は、チームとして選んだ未来社会とそこにどんな人が暮らしていて、どんな悩みを持っているのか、そしてそれを解決する製品やサービスがどの最先端技術を使うことで実現できるのかを発表した。それぞれの内容に堀井氏が改めて新規性・有効性・実現可能性について講評をして、1年次の探究学習始まりの一歩「未来の見つけ方」が終わった。
同校の探究学習は、新たなアイデアを生むための思考訓練にとどまらず、これからの社会の在り方や人々の暮らし、人それぞれの価値観の違い、科学技術の汎用性など、社会と積極的に関わり、視野を広げて思考を深化させることにつなげるものであることを、その最初の授業から示している。