科目も大きく再編、時間配分には細心の注意を

 2025年度の共通テスト最大の変更点は、これまで受験科目になかった「情報」が追加されることだ。これにより、国公立大学の受験生は従来の「5教科7科目」から「6教科8科目」の受験が必要になる。

 公表されている試作問題では、ソーシャルメディア・ネットワーク(SNS)やインターネットの利用方法のほか、買い物の場面でお釣りの小銭の枚数が少なくなる「上手な払い方」を計算するプログラムの考え方を問う問題などが掲載されているので、参考にしたい。

 既存の教科でも試験時間の変更や科目の再編が行われる。国語と数学は、試験時間が10分間延長された。特に国語は、法律の条文や契約書の書面など「実用的な文章」が新たに出題される見込みだ。社会は、日本史と世界史の双方を学ぶ新科目「歴史総合」のほか、地理の新科目「地理総合」、公民の新科目「公共」などが追加されている。

 理科も、新課程になって、教科書が刷新されているので注意が必要だ。さらに、英語のリーディングは、出題される単語数が増加傾向にあって、語彙(ごい)力とスピードが求められる試験になっている。

 進学予備校で共通テストの分析を行うC氏は、どの教科も問題冊子のページ数がセンター試験の時よりも増えていることを念頭に、注意を促す。

「25年度の共通テストは、特に試験時間の管理に要注意です。国語は試験時間が増えましたが、『実用的な文章』において大問も1つ増え、1つの設問に使える時間は逆に減るはずです。現代文と古文、そして実用的な文章にどのように時間配分をするのか、あらかじめ決めておく必要があります」

 なお、新課程を履修していない既卒受験生については、「経過措置」として一部の教科・科目(『地理歴史・公民』『数学』『情報』)で、旧課程科目の受験もできる。逆に新課程履修者は、旧課程の選択はできないので注意が必要だ。

 25年度の共通テストは、全国651の会場で実施される。21年から24年までは、大学入試改革にとっては、いわば「前哨戦」。新課程で行われる今年度の大学入試こそが、改革の本丸といえるだろう。大学入試センターが提示する新課程の大学入試は、果たしてどんな姿で現れるのか。その全貌が間もなく明らかになる。