「女子大だから」学生募集に苦戦するのか?
こうした私立女子大学の苦戦の模様は、さまざまなメディアで報じられているが、果たして「女子大だから」学生募集に苦戦するのだろうか。
日本私立学校振興・共済事業団によると、共学・別学を問わず、収容定員の規模別に大学を分類した場合、「小規模大学(収容定員4000人未満・462校)」の24年度入学定員(1年生として入学できる定員)充足率は88.9%と100%を割っている。一方「中規模大学(同4000~8000人未満・85校)」は101.3%、「大規模大学(同8000人以上・51校)」は103.5%と、いずれも100%を少し超える水準にある。
前ページ「表1」に挙げた女子大学はいずれも「小規模大学」に相当する。次ページ「表2」では収容定員充足率100%以上の女子大学を一覧にしたが、6校が「中規模」「大規模」大学だ。分類上は「小規模大学」とはいえ、収容定員3500人以上の大学も2校ある。
確かに、少子化の影響は大きい。さらに、女子学生のキャリア志向や共学志向の高まりが総合大学への進学のモチベーションとなり、18歳人口が減る中でさらに女子大離れが進んでいることは否めない。しかし、共学・別学を問わず、単科、あるいは学部の少ない「小規模大学」は、そもそも受験生の選択肢が少ないという時点で、学生募集に苦戦を強いられやすい。
ある都立高校で進路指導を担当する教員は、そもそも小規模の女子大学が「女子大を選ぶメリット」を十分に発信できていないことに学生募集に苦戦する原因があるのでは、と指摘する。
「小規模な女子大学で顕著に見られる面倒見の良さは、大規模な大学では絶対にまねできません。一人ひとりの授業の出席率から就職活動の進捗までを確認し、問題が見つかると直ちに指導するなど、教育効果を最大限上げようという姿勢が見られます」
もちろん、一定規模以上の大学であっても学生の確保は決して「安泰」ではない。例えば、実践女子大学、共立女子大学、昭和女子大学では、社会科学系や理系学部の強化を図り、共学校の併願先の選択肢とするなど、女子受験生確保のための改組を積極的に進めている。
背景には、大学の経営状況によって規模の縮小や統合・再編といった改善を行わなければ、国からの助成金交付に影響が生じる事情もある。文部科学省は、収容定員の充足率が100%を下回る場合はもちろん、上回る場合も100%を超えた割合によって助成金を減額、あるいは不交付とする措置を講じており(*1)、不交付基準となる収容定員超過率は、毎年引き下げられる傾向にある。
*1「私立大学等経常費補助金取扱要領 私立大学等経常費補助金配分基準」(日本私立学校振興・共済事業団)※PDFに遷移