「隔年型」の公立校と人気上昇中の「逓増型」

 男子では、実倍率4倍程度まで緩和傾向が続いた公立中高一貫校が多かった。女子の場合は、「隔年型」の学校も見受けられる。人気の東京都立三鷹中等教育学校は、474人(5.93倍)、581人(7.26倍)、468人(5.85倍)、441人(5.51倍)、475人(5.94倍)と毎年増減しているが、実倍率が5倍半より下がることもなく、23年に少し緩和しても狭き門に変わりはなさそうだ。同様に、都立富士高等学校附属と都立武蔵高等学校附属も「隔年型」である。

「隔年型」ではあるが、上向き傾向である学校としては、フェリス女学院が挙げられる。386人(1.97倍)、420人(2.10倍)、384人(1.97倍)、414人(2.07倍)、435人(2.18倍)と、この5年間で50人ほど上積みしている。共学校では1日午後の神奈川大学附属(第1回)が「急増型」の雰囲気を帯びている。298人(2.19倍)、329人(2.19倍)、319人(2.18倍)、243人(2.06倍)、363人(2.28倍)と22年の勢いが強く、5年間で受験者数を2割上積みしている。

 次に、この5年間概ね増加傾向が続いている「逓増型」を見てみよう。

 13校中女子校が6校を占めている。いずれも着実に人気校への道を歩んでいる印象で、典型例としては清泉女学院(1期)の96人(1.45倍)、135人(2.01倍)、135人(2.01倍)、146人(2.75倍)、155人(2.87倍)が挙げられる。ただ、実倍率が3倍に近づいており、23年もこの傾向を維持できるかは注目点となる。

 同様に、山脇学園(一般A)や玉川聖学院(第1回)もコツコツと積み上げている。跡見学園(一般第1回)と女子美術大学付属(第1回)は、22年は一休みという感じだった。23年にまた受験生を増やすのだろうか。

 共学校ではどうか。意外なところでは、国立の筑波大学附属が挙げられる。173人(4.33倍)、190人(4.75倍)、209人(4.02倍)、227人(4.37倍)、254人(4.88倍)と、実倍率5倍に向け上昇している。20年から募集人員を増やし、21年から入試科目を半減して実技系を外したこともあり、受けやすくなったことも背景にはありそうだ。

 淑徳巣鴨(第1回一般)は32人(1.39倍)、47人(1.74倍)、56人(2.00倍)、73人(2.43倍)、85人(4.05倍)、立正大学付属立正(第1回午前)は23人(1.15倍)、25人(1.14倍)、36人(1.16倍)、41人(1.11倍)、52人(1.21倍)と、いずれも5年間で受験者数を倍増させた中位校の典型例である。