コロナ禍でも人気急上昇の学校とは

「逓増型」の要素を持ちながら、21・22年のコロナ禍の入試で受験者数が跳ね上がっている「急増型」の学校は10校ある。共学校と女子校が半分ずつだが、大きな共通点として、受験者数がさほど多くない点、中位校が多い点が挙げられる。要は、受けやすい。

 22年の受験者数が200人ほどの学校は二つある。名門復活の勢いを感じる実践女子学園(第1回午前)は、129人(1.13倍)、105人(1.31倍)、63人(1.34倍)、93人(1.98倍)、204人(3.24倍)と20年の落ち込み方が激しいため「回復型」のようにも見えるが、実倍率は全入状態から3倍超へと、まさに急騰している。5年前とはまるで別の学校のようですらある。

 佼成学園女子(2月1日午前)も116人(1.08倍)、118人(1.01倍)、116人(1.04倍)、149人(1.01倍)、184人(1.05倍)といった具合に、コロナ禍で受験生を増やした典型例である。実倍率を見ると分かるように全入状態であり、急激な生徒増に伴うクラス増の影響を学校運営は受けざるを得ない。23年もこうした実倍率が継続するようならば、生徒数はさらに増えることになるのだが。

 江東区の清澄白河駅に近い中村(一般2科・4科1日)は、湾岸人気に乗った女子校であり、こちらも受験者数の伸びが大きい。16人(1.07倍)、24人(1.20倍)、18人(1.20倍)、30人(1.36倍)、57人(1.24倍)と、5年前の3倍以上まで増やした。実倍率も受けやすく入りやすい水準を維持している。

 共学校はどうか。駒込(第1回)が男子をしのぐ勢いで増やしている。15人(1.36倍)、18人(1.13倍)、32人(1.03倍)、113人(1.47倍)、167人(1.67倍)とコロナ禍で跳ね上がり、5年間で受験者数は10倍超、それでも実倍率は1倍半前後という入りやすさを継続している人気校となった。

 千代田区立麴町中学の校長を経て就任した工藤勇一校長の人気もあって、横浜創英(第1回4科・2科)も、24人(1.04倍)、34人(1.10倍)、26人(1.08倍)、30人(1.25倍)、75人(1.79倍)と、受験者数の跳ね上がり方がすごい。 老舗校では、横浜の関東学院(一期A)が、「隔年型」の要素をまといつつも22年に跳ね上がった。54人(1.74倍)、72人(2.06倍)、70人(2.33倍)、65人(2.32倍)、95人(5.28倍)となっている。21年4月に就任した森田祐二校長は、前任の名古屋学院名古屋中学高校を中堅の進学校に衣替えした立役者であり、早くもその手腕が発揮された結果である。

 21年開校の広尾学園小石川(第1回本科・ISG)は、111人(2.09倍)、192人(8.00倍)と、2年目にして大変狭き門となった。姉妹校の広尾学園(後述するように「逓減型」)と比べてはるかに入りやすいこともあり、受験生が殺到したからだ。さすがにこの実倍率では合格する実感も湧かないだろうから、23年は緩和するものとみられる。