高校生のコース別大学受験塾の費用
次にコース別における費用を比較してみたいと思います。ここでは、国公立大学を受験するコースと、私立大学を受験するコースの2つに大別して、大手予備校の河合塾と駿台予備校の料金を比較してみます。
国公立大学受験コースの費用の相場
国公立大学受験コースは、受講する教科数が多いため、私立大学受験コースよりも費用が高くなる傾向があります。それぞれの費用は、以下の通りです。
【河合塾】
河合塾は、対面授業・映像授業・個別指導・志望校別対策・通信教育など、幅広い指導形態をもつ大手の学習塾・予備校です。小学生を対象としたコースから高卒生を対象としたコースまであり、多様なニーズに対応することができるようになっています。
高校生のコースでは、対面授業の「高校グリーンコース」、映像授業の「河合塾マナビス」、トップレベル生対象の「K会」などのコースがあります。学費は、入塾金(33,000円)と塾生サポート費(高3は年額66,000円)に授業料を合計した額を支払うことになります。
高校3年生対象講座(関東の一例) | 料金(年額) | 受講内容 |
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ONE WEX東大英語 週1回180分×24講座 |
180,000円 |
東大の個別試験をターゲットとした講座。 また、東大入試の傾向やポイント、練習問題を収録したサブテキストが用意されている。 |
トップレベル国公立大英語 週1回150分×24講座 |
170,400円 | 最難関国公立大学で頻出の長文読解と英作文の対策ができる講座。 本番入試で高得点につながる正確な知識の定着と答案作成力を養うことができる。 |
ONE WEX京大理系数学 週1回180分×24講座 |
180,000円 | 京大理系学部への現役合格を目指すための講座。 問題文を正しく読み取り、解答の道筋を考え、答案に表現する力を鍛えていくことで、解答力を養う。 |
共通テスト対策数学ⅠAⅡB 週1回90分×22講座 |
127,600円 | 大学入試共通テストで数学を受験する生徒に向けた講座。 共通テストで必要な基礎練習と問題対応力、思考力・判断力を育成することができる。 |
参照: 河合塾 関東 高3生
【駿台予備校】
駿台予備校は、全国に32校舎を展開している、大学受験専門の予備校です。主に高校生や高卒生を対象とした講義をしていますが、校舎によっては中学1年生を対象としたクラスも開講しています。予備校として100年以上の歴史があり、これまでに培ったノウハウを活かして志望校合格に向けた指導を行っています。
受講コース(関東の一例) | 料金 | 受講内容 |
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国公立大医系プレミアムサポート 個別指導プラス |
2,000,000円 |
国公立大学の医学部を目標にしたコース。 市谷校舎以外は左記料金より22万円安い。 |
東大理系特化(演習強化) | 950,000円 | 東京大学の理系を目標にしたコース。 特化コースの授業に実践演習を加えており、得点力を高めることができる。 |
国公立大文系プレミアムサポート | 960,000円 | 筑波大学、埼玉大学、お茶の水女子大学、東京外国語大学などを目標にしたコース。 対面授業とICT教材、コーチングなどを取り入れて、学力を鍛えることができる。 |
国公立大文系特化 | 920,000円 | 筑波大学、横浜国立大学、大阪大学、東京都立大学などを目標にしたコース。 共通テストと個別試験に向けて、基礎学力と応用力を鍛えることができる。 |
参照: 駿台予備校 国公立(医系)対策コース一覧
参照: 駿台予備校 国公立(理系)対策コース一覧
参照: 駿台予備校 国公立(文系)対策コース一覧
私立大学受験コースの費用の相場
私立大学受験コースは、大きく「医系」「理系」「文系」の3つにコースが分かれます。医系コースは、理系・文系に比べて費用が高くなる傾向です。また、各種オプションを付けることで、費用も高額になっていきます。
【河合塾】
高校3年生対象講座(関東の一例) | 料金(年額) | 受講内容 |
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ONE WEX医進英語 週1回180分×24講座 |
180,000円 | 難関国公立大や私立大医学部への現役合格を目標にした講座。 一般的な出題形式を中心に、難問にも対応できる答案作成力を鍛えることができる。 |
早慶大英語 週1回150分×24講座 |
170,400円 | 早大・慶大など最難関私立大学合格に必要な英語力を養成するための講座。 ハイレベルな長文問題にも対応できるような授業内容になっている。 |
私大古文 週1回90分×24講座 |
139,200円 | 私立大の古文の苦手を克服するための基礎的なレベルの講座。 古文の読解に必要な基礎知識を身に付けたり、多様な設問に対する取り組み方を学ぶことができる。 |
共通テスト対策国語 週1回90分×22講座 |
127,600円 | 大学入学共通テストの傾向・分析を踏まえて、重要事項をじっくりと学習する講座。 現代文・古文・漢文を幅広く学習することができる。 |
参照: 河合塾 関東 高3生
【駿台予備校】
受講コース(関東の一例) | 料金 | 受講内容 |
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EX私立大医系演習 | 1,120,000円 | 慶應義塾大学、東京慈恵会医科大学、順天堂大学などの最難関私立大学医学部を目標にしたコース。 極めて高いレベルの授業を受けて、答案作成力を徹底強化することができる。 |
早慶大理系特化 | 840,000円 | 早稲田・慶應義塾大学の理系学部を目標にしたコース。 総合的な学力を養い、合格に必要な得点力を鍛えることができる。 |
早慶大文系特化 | 840,000円 | 早稲田・慶應義塾大学の文系学部を目標にしたコース。 総合学力と弱点補強に重点をおいたカリキュラムで得点力を鍛えることができる。 |
私立大文系プレミアムサポート | 880,000円 | 青山学院大学、上智大学、立教大学などの文系を目標にしたコース。 対面授業とICT教材、コーチングなどを取り入れて、学力を鍛えることができる。 |
参照: 駿台予備校 私立(医系)対策コース一覧
参照: 駿台予備校 私立(理系)対策コース一覧
参照: 駿台予備校 私立(文系)対策コース一覧
主な大学受験の塾・予備校の費用の内訳
塾・予備校にかかる費用は授業料の他にも様々な費用がかかります。以下に挙げる項目が主にかかる費用ですが、季節講習費はホームページなどでは開示していないこともあるため、入塾前に確認しておくことが大切です。また、ここに示した費用の他に、実際には交通費・生活費などの費用がかかることにも注意しておきましょう。
入学金
入塾・入学にかかる費用です。3万円から10万円を入学金に設定しているところが多いですが、塾・予備校によっては入学金がかからないところもあります。
年間授業料
塾は月謝制で料金がかかるシステムが多く、予備校は一括または半期で料金を支払うシステムになっているところが多くなっています。特に予備校は一括または半期で支払うため、しっかりと相性を確かめてから授業料を支払いましょう。
季節講習費
季節講習費とは、春期講習・夏期講習・冬期講習・正月特訓・入試直前講座など、通常授業の他にかかる費用です。通常授業よりも高額な料金が設定されていることもあるので、季節講習費は特に注意が必要です。四谷学院のように受講している講座によって季節講習を必修にしているところもあれば、任意で受講できる塾・予備校もあるので、併せて確認しておきましょう。
教材費
教材費は、テキスト代とも言われる費用です。塾・予備校のオリジナルテキストを使用する場合もあれば、市販のテキストを使用する場合もあります。受講する講座によって必ず購入しなければいけないテキストがあることもあるので、どのようなテキストを使用するか事前にサンプルを見せてもらうなどして確認しておくとよいです。
教材費は、塾・予備校以外でも、書店で参考書を購入したり、高校の先生が一律でテキストを購入・配布したりすることもあるため、自分に必要なテキストを見極めることが大切です。
模試費用
模試費用は、模試を受けるためにかかる費用です。東進のように年間を見通して一括で支払う場合もありますが、模試ごとに支払う塾・予備校もあります。塾・予備校のカリキュラムに含まれていない場合は、自分で模試に申し込んで受ける必要があります。
模試には、マーク式、記述式、志望校別など、様々な種類があります。例えば、河合塾の「全統共通テスト模試(マーク式)」、駿台予備校の「駿台全国模試(記述式)」、代々木ゼミナールの「東大入試プレ(記述・論述式)」などがあります。模試によって難易度が異なったり、母集団が異なったりしますので、受験する大学に合わせて模試を選択するようにしましょう。
なお、東進ハイスクール・東進衛星予備校では共通テストや主要大学の模試を随時実施しています。詳しくは公式サイトで確認してみてください。
予備校最大手の「東進ハイスクール・東進衛星予備校」とは | |
特徴① | 日本全国のどの校舎でも有名一流講師の映像授業が受けられる |
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特徴② | 講座修了判定テストや担任制度など、手厚い学習サポート体制 |
特徴③ | 過去10年分の過去問を演習できる講座や共通テストの対策講座が人気 |
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大学受験の塾・予備校の費用を抑える方法
ここまで費用を紹介してきましたが、「思ったよりも授業料が安い塾・予備校もあるな」と感じた方もいるのではないでしょうか。しかし、上記で紹介した授業料には、季節講習の料金が含まれていないことが多く、季節講習を受講するとなるとさらに費用がかかることになります。入塾前に、季節講習や模試代などを含めると、年間でどのくらいの料金がかかるのかを確認しておくべきでしょう。
また、本来の想定とは異なった数回講座の受講を勧められることもあるので注意が必要です。例えば、映像授業タイプの塾・予備校では、たくさんの授業を受けるように勧められることがあるようです。得意科目なのに基礎的な講座から受講を勧められる、大学入試共通テストしか利用しないのに応用的な講座まで受講を勧められるようなことがあれば、時間や費用を無駄に浪費することにもなりかねませんので、注意してください。
ここでは、少しでも大学受験の塾・予備校の費用を抑える方法を解説します。
授業の数を少なくする
まずは、授業(講座)の数を少なくすることで費用を抑える方法があります。私立大学志望の場合は、受験科目に絞ることで費用を抑えることができます。また、科目によっては独学にしたり、比較的費用の安い映像授業と組み合わせたりすることで、費用を抑えることができます。
ただし、あまりに早期に科目を絞りすぎると、受験できる大学・学部の幅も狭めることになるので、まずは志望大学や志望学部を決めるところから始めるとよいでしょう。また、独学では効率よく学習できないこともあるので、注意が必要です。
キャンペーンを利用してみる
塾・予備校では、各種キャンペーンを実施していることがあります。よくあるのは、「入塾金半額」や「入塾金無料」のキャンペーンです。また、春期講習や夏期講習で新入生を獲得するために、「春期講習半額キャンペーン」「夏期講習無料キャンペーン」などを実施していることもあります。
その他には、「紹介キャンペーン」「きょうだい割引」「授業料1か月無料」など、塾・予備校によって様々なキャンペーンを開催しています。タイミング次第ですが、キャンペーンを利用することで費用を抑えることができます。
【キャンペーンの一例】
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東進衛星予備校「特別招待講習」
新年度や夏期講習などのタイミングで実施されることが多いキャンペーンで、4講座を無料で受講できる。
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駿台予備校「入学金半額」
高卒クラスを検討している人は、入学説明会に参加すると、入学金10万円が5万円になる。なお、入学説明会の申し込みに は無料会員登録が必要で、説明会後にはすべての生徒と個別面談が行われる。 -
秀英予備校「兄弟・姉妹割引制度」
兄・姉は満額を支払うが、弟・妹は授業料が約3割引になる。 -
河合塾「入学金免除」
インターネットから申し込みをすると、入塾金(33,000円)が全額または半額免除になる。 -
代々木ゼミナール「説明会参加による授業料一部減額」
入学説明会に参加すると、授業料の一部(50,000円)を減額する制度。 -
Z会の通信教育(高校生向け)「Z会専用タブレット実質0円」
Z会専用タブレットを購入し、高校生コースを3講座以上受講し、なおかつ12ヶ月一括払いで申し込むと、タブレット料金24,900円を毎月の支払い費用から割引くことができる(2,075円×12ヶ月)。
特待制度を利用する
塾・予備校は、合格実績が非常に重要になるため、できるだけ優秀な生徒を集めようとします。そのため、様々な塾・予備校で「特待生制度」を用意して、入学金免除・授業料免除などの各種特典を付与することで、成績が優秀な生徒を集めようとしています。特待生制度がある塾・予備校の一部を以下に紹介します。
【東進ハイスクール・東進衛星予備校】特待生制度(東大特進コース)
模試等の東大判定が載っている成績表のコピーを提出し、基準を満たすことで特待生になれます。特待生になると成績によって1科目から特待生制度を利用することができ、英語・数学・国語・地理の4科目で特待生になれば、4科目分の講座を無料で受講することができます。例えば、国語には、「東大現代文」「東大古文」「東大漢文」という3つの講座がありますが、これらの講座を「国語」の1科目分として計算するため、複数の講座を無料で受講することが可能です。
【河合塾】特別奨学生制度
東京大学・京都大学・国公立大学医学部医学科を目指す成績優秀者が対象の制度です。奨学金として学費の一部(最大50万円)が免除されます。河合塾の授業に必ず出席すること、特別奨学生試験で好成績を収めることなど、特別奨学生になるためにはいくつかの条件があります。
【代々木ゼミナール】スカラシップ生制度
入学コース診断テストで優秀な成績を収めることで、大学受験科の年間の学費が全額または一部減額されます。
【医学部受験予備校 富士学院】特待生制度
特待生試験(英語・数学・化学・生物/物理・面接)を受験して、成績により授業料全額免除・授業料より110万円免除・授業料より33万円免除の特典が受けられます。
【湘南ゼミナール】模範特待生制度
塾内模試(湘ゼミ模試)または指定の外部模試(河合塾の「全統記述模試」、駿台予備校の「駿台全国模試」など)を利用して特待生を選抜する制度です。特別模範特待生になると、授業料・教材諸費を全額返金、第一種模範特待生は授業料・教材諸費の50%を返金、第二種模範特待生は授業料・教材諸費の25%を返金してもらえます。
【臨海セミナー】東大プロジェクト
東大ゼミ生コースでは、現役生は全国模試の総合偏差値70以上、既卒生は東大模試でB判定以上であれば、月額5,500円の東大ゼミ生会費が免除される「プレミアム会員」に認定されます。
できるだけ費用を抑えたい場合は、オンライン塾・オンライン予備校を検討してみてほしいと思います。ただ、オンラインの塾・予備校に対しては、「すぐに質問ができないのではないか」「対面授業のように集中して授業を受けられないのではないか」などの不安を抱えている方もいらっしゃいます。
例えば、私の塾では、毎回の授業後に面談をして生徒の状況を把握したり、毎時間テストを実施して学習の定着を図ったりしています。オンラインの面談は1対1で行うため、「自分から質問できない」という生徒でも必然的にコミュニケーションを取らないといけなくなり、対面よりも密にコミュニケーションが取れるというメリットもあります。
このように、オンラインの良さを生かすことで、費用を抑えつつ成績を上げていくことは十分可能です。それぞれの塾・予備校にはそれぞれの特徴がありますので、ぜひ自分に合う塾・予備校選びをしてみてください。
大学受験の塾・予備校費用に関するよくある質問
大学受験の塾・予備校の費用に関して、よくある質問を2つ紹介して回答します。
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浪人をすると、どのくらいの費用がかかりますか?
第一志望の大学に合格できなかった場合、合格できた大学に進学するか、浪人をするかどうか悩むところです。費用面で考えると、浪人をする場合は予備校費、模試費、受験費の費用が必要になりますので、家庭の経済状況を考慮して判断するとよいでしょう。浪人すると概ね150万円から200万円が支出の可能性として考えられます。 -
塾・予備校の費用をできるだけ抑えたいのですが、費用を抑える上での注意点を教えてください。
費用を抑える方法は上記で説明した通りですが、ここで注意しておいてほしいポイントがあります。それは、「支払うべき費用はしっかりと支払うこと」です。塾・予備校に通うのは、志望校に合格するという目標を達成するためです。できるだけ費用を抑えた結果、成績が上がらずに志望校に落ちてしまっては元も子もありません。塾や予備校のチューターなどは、いろいろな講座を受講するように勧めてくるかもしれませんが、自分にとって何が必要で、何が不必要かを見極め、必要なところにはしっかりと経費をかけましょう。もちろん、何が自分に必要かはすぐに判断できないと思いますので、塾・予備校の講師やチューター、高校の先生、両親など、いろいろな人のアドバイスを受けながら考えるとよいでしょう。
塾・予備校を選ぶ際には、授業料や受講科目数などに気を取られてしまいますが、意外と見落としがちなのが「進路指導を誰がしてくれるのか」というポイントです。この進路指導(受験戦略を立てること)に関しては、塾・予備校業界で長年働いてきた人、生徒の学習状況を正しく把握している講師でないと非常に困難です。成績が伸びてきている生徒でも、受験戦略で失敗してしまう生徒がいるのは大変もったいないことです。
そのため、「進路指導・受験相談」に関しては、質の高いサービスが受けられるように入塾時に確認をしておくべきですし、費用がかかるとしてもしっかりと支出するべきでしょう。
大学受験の塾・予備校に関する費用まとめ
大学受験に必要な科目をすべて予備校や個別指導塾で受講しようとすると、多額の費用がかかります。映像授業と組み合わせたり、キャンペーンを利用したり、各種割引制度を利用したりして、うまく費用を抑えられるように調整してみましょう。
大学受験は、その後の人生を左右する大切な受験です。どれくらいの費用がかかるかも大切な指標ですが、費用対効果ができるだけ高くなるように、費用面以外にも目を向けて塾・予備校選びをするようにしてください。
予備校最大手の「東進ハイスクール・東進衛星予備校」とは | |
特徴① | 日本全国のどの校舎でも有名一流講師の映像授業が受けられる |
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特徴② | 講座修了判定テストや担任制度など、手厚い学習サポート体制 |
特徴③ | 過去10年分の過去問を演習できる講座や共通テストの対策講座が人気 |
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