開成の同期がもっていたまずい考え方
先日開成高校の同期たちと食事をする機会がありました。小学生の子どもがいる友人も多く、出てくるのは自然と子どもの受験の話題です。私が受験指導をなりわいにしていることもあって、いろいろと相談を受けました。
その中で、これはまずいなという考え方に出会いました。
同期たちは皆、開成で切磋琢磨してきた優秀な仲間たちです。だから、悪い意味で「開成に受かることは、なかなかできないすごいこと」という自覚がありません。子どもも同じことをできるのが普通と思ってしまっているのです。
ある友人などは、「うちの子には開成なんてとても無理かな。そこそこの私立に入ってくれればそれで良いよ」と言うので、私が「そこそこの私立ってどこを考えているの?」と尋ねてみると、「海城とか駒場東邦とか…?」という返事が。 思わず顔が引きつってしまいました。
ご存知のように海城や駒場東邦は、「そこそこ」というレベルではなく、多くの受験生が憧れる超難関校です。それを「そこそこ」なんて父親が言っていたら、奥さんや子どもがどれだけ傷つき苦しむことか、想像できるのではないでしょうか。
長年受験指導に携わってきた経験から、父親としての正しい心構えについてよく言って聞かせました。
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教育サービスの充実で差別化を図る中堅校
さて、本題に戻りますが、そんなできごとがありましたので、子どもたちの努力を正しく評価し、応援していけるように、志望校選択の参考になるお話をお届けしています。
実際のところ、今は私立中高の教育現場は大きく変わってきていて、リアルに「そこそこ」の偏差値の学校に進学することがとてもおすすめな状況になってきています。
具体的に言うと、四谷大塚・日能研の偏差値で50前後、SAPIX偏差値で言ったら40台前半~30台くらいの学校が、すごく良いんですね。このあたりの学校は、開成や麻布や桜蔭や女子学院のように、唯一無二の独自のポジションを持っていて、その個性に惹かれた人が集まる学校、ではありません。
だからこそ逆に、同じくらいの偏差値帯の学校との競争にさらされ、生き残りをかけて教育サービスの充実を目指しています。
我が母校の開成などよりも、むしろ最先端の教育スタイルを取り入れて、子どもが伸びる環境を作り上げている学校も見られます。開成では絶対に受けられないような、手厚い勉強のサポートをしてくれたりするところも多いです。
聖光もかつては神奈川で2番手の学校だった
余談ですが、2024年や2025年の東大合格実績で、開成は聖光に負けたのはご存知ですか?人数で言ったら開成が1位なのですが、卒業生に対しての現役合格率を見ると聖光が1位なのです。
もちろん聖光は「そこそこ」なんていうレベルの学校ではなく、今や神奈川No.1の人気校ですが、昔は長らく栄光に次ぐ2番手の学校でした。それがNo.1に躍り出て、今や開成をも凌ぐ進学実績を出すように変わったきっかけは、やはり生徒指導の充実を図ったことです。
御三家とか言われるような超難関名門校は、良く言えば自主性を尊重してくれる学校ですが、見方を変えればほったらかしな学校ともいえるかもしれません。聖光も昔はそうだったのですが、10年ちょっと前からそのスタイルが変わりました。
その結果、進学実績がぐんぐん伸びてきたというわけです。
そして、昔は「栄光に受からなかった子」が2月4日の2回目の入試で合格して進学することが多かったのですが、そういう子たちの学力がしっかり伸びて大学受験の実績では栄光を上回るようになり、「栄光よりも聖光を選ぶ子」が増えました。
つまり、昔よりも中学受験の時点で学力の高い子が入学してくるようになったのです。その子たちがしっかり鍛えられて、今度は開成を超える進学実績を出したということなんですね。
隠れた「お宝学校」を探そう
これと同じようなことが起こっている中堅校が、実はちらほらと見られます。
「共学化しました!名前を○○国際に変えました!」みたいな目立つ変更ではないので多くの人が気付いていないけれど、地道な学校改革を進め、指導の充実を図り、じわじわと進学実績を伸ばして人気を獲得している学校というのは、探せば見つかります。
そうした「お宝」な学校を見つけるのが、中学受験の受験指導の醍醐味とも言えます。こうした記事で広く世間に発信してしまったら「隠れたお宝」ではなくなってしまいますので、塾生保護者さん以外にはお教えできないのですが、本当に人には教えたくない良い学校ってあるんですね。
テスティーの卒業生でも、そうしたお宝学校に進学し、「この学校に来て本当に良かった」と言ってくれている子たちがたくさんいます。
ぜひあなたもそうした学校を探してみてください。お子さんが充実した6年を過ごし、グッと成長できる、「運命の学校」と巡り合えるかもしれませんよ。第1志望の学校だけでなく、そういう学校をいくつか見つけて、第2志望・第3志望にできたらますますどんな結果になっても安心ですよね。
指導の方針については必ず確認を
また、志望校を選ぶときは、説明会などに足を運んで、どんな指導をしているのかを確認しておいてください。
中には管理がゴリゴリに厳しくて、成績が悪いと部活への出席も禁止され、ひたすら勉強ばかりさせられるみたいな学校もあったりします。そうした管理が厳しい学校は合わない性格の子も多いです。それで勉強が嫌いになってしまっては元も子もありません。
また、近年の研究では、部活や学校行事などの課外活動こそ、思春期の子どもの「非認知的能力」を育てる上でとても貴重な経験であるという指摘もあり、受験勉強のためにそれらを犠牲にするのは教育上良くないのではないかという懸念もあります。
「無理やり勉強させる学校」なのか、それとも「子どもに寄り添いサポートする学校」「子どもが自然と勉強したくなる環境を作っている学校」なのか、そこの見極めは重要です。
お通いの塾の先生に聞いてみるのもアリだと思います。説明会だと良いことしか言わないこともあるので、むしろ卒業生の話を聞いている塾の先生たちの方が実態を知っていることも多いです。
お宝学校探しを楽しんでくださいね!それでは。


