自らの判断で行動を選択
その行動がもたらす結果に責任を負う
もう一つ、OECDの学習の枠組みで注目すべきことは、エージェンシー(Agency)という概念が言及されていること。美馬氏いわく「変革の当事者」であることだ。
日本の教育現場ではエージェンシーを「主体性」という言葉に置き換えて、授業に取り入れられてきているが、OECDの意図は「主体性」の枠を超えている。
「21世紀に求められるエージェンシーは変革を起こす意志を持ち、自らの判断で行動を選択して、その行動がもたらす結果にも責任を負うことまでを含んでいます。単に個人の能力や特性ではありません。みんなと協力し合って、現代の多様な危機に直面している社会を変えていこうとする行動を通じて育まれていくと考えられています」
変革を起こすコンピテンシーを育む学習方法として、OECDは「現実世界との関わりの中で学習すること」「予見(Anticipation)、遂行(Action)、省察(Reflection)というAARサイクルを通して行うこと」の2点を強調している(図2)。
前者は、社会の問題を通して学ぶプロジェクト型学習(PBL)として、日本の教育現場にも浸透してきているという。
生徒が実社会に関連した問題を見つけ、さまざまな教科で学んだ知識やデジタル技術などを横断的に適用させながら、チームで時間をかけて問題の解決に取り組む授業だ。