賑やかな学校

「中堅・中位校」は、偏差値よりも「やりたいことができる学校」を第一志望に イラスト:PIXTA

受験者数を過去最多まで底上げした「中堅・中位校」

 現在、埼玉、千葉など1月に入試を行う私立中学校を中心に、2026年度入試の出願受け付けが行われている。東京・神奈川・埼玉・千葉の1都3県では、2023~25年度と3年連続で、私立および国立中学校の受験生総数が、過去最多水準の5万2000人を超えた(首都圏模試センター調べ ※1)。

 そのボリュームゾーンとなっているのが、難易度でいう「中堅・中位校」(四谷大塚80偏差値で50前後から50台半ばを想定)に該当する中高一貫校だ。

 これらの学校は、4科目の総合的な学力試験以外にも、算数や国語1科目のみ、あるいは英語受験が可能な試験などを実施して多彩な能力を持つ生徒に中学受験の門戸を開いてきた。また、例えば、東京都が行う私立中学に通う子どものいる家庭への助成や、高校授業料の無償化施策のように、行政の支援策も受験者層の拡大を後押ししている。

 私立中学で学びたいと思う子ども、子どもを学ばせたいと思う保護者は、これまでも潜在的に多数いたのだろう。入試の多様化や公的助成といった条件が整ったことで、少子化にもかかわらず受験生の増加が顕在化していった。

 だが、中堅・中位校の受験生(および保護者)は、必ずしも「一流大学」に入ることを第一目的に中高一貫校を選ぶのではなく、むしろ「学校独自の教育内容や課外活動に期待し、充実した10代の6年間を過ごせる点に重きを置くケースが多い」と、個別指導塾TOMAS(トーマス)の松井誠氏(※2)は述べる。

 それだけに受験校の選択は難しい。偏差値だけで受験校を決めるのではなく、保護者が積極的に学校の特色を情報収集し、子どもとよく話し合って納得のいく複数校の併願スケジュールを組み立てることが不可欠なのだ。松井氏は、次のページの六つの視点からの受験校選択を推奨する。

※1 首都圏模試センター「受験情報ブログ」から
※2 個別指導塾TOMASホームページ  https://www.tomas.co.jp/