東進ハイスクール・東進衛星予備校
出典: 東進ハイスクール・東進衛星予備校の公式サイト

映像授業で、全国で同じ内容を学べる

 すべての授業が映像授業で受けられる。生徒たちは自分の都合がいい時間に校舎に来て、個々のブースで映像授業を視聴する。

 1コマは90分を1.5倍速で見ると60分。1回の登校で2コマ以上を受講することが推奨されているが、校舎に来るのが夜遅くなった時などは1コマだけ受けることもできる。校舎は21時45分まで開館している。

 東進ハイスクールを卒業した大学生が「担任助手」として十分な人数配置され、教室内もしっかりと見ているため、安心して授業が受けられる。

 映像授業は自宅のパソコンでも見ることができるが、ほとんどの生徒は校舎に来て学習をする。周りの仲間が頑張っていると、自分も集中できるからだ。わからないところがあればその箇所を見直すこともできるし、それでも質問があれば、専用のヘルプデスクを利用できる。質問には担任助手が応対する。

 映像授業なので、講座数が多いのも特徴だ。1講座当たり20コマの通期講座は約230講座。それ以外に1講座当たり5コマなどの講習講座も含めれば、計800以上のラインアップを誇る。難易度は12に分かれ、自分に必要な講座を担任(社員)と相談して選択する。例えば、英語の今井宏講師の講座もレベル別に5段階に分かれている。上智大学主催の英語資格試験TEAPの対策講座といった、ニッチな講座も用意されている。

 全国で同じ授業が受けられるので、地方にいても東京の生徒と同じ内容が学べる。

ノウハウの詰まった映像授業

 もともとは人気講師の授業をリアルタイム配信で各校舎に流していた。しかし、部活動などで授業に間に合わない生徒たちがおり、録画した映像を見せることに。すると「映像のほうが都合がいい時に勉強ができるから助かる」という声が多く、そこで録画した映像授業を利用するスタイルになっていった。

 30年間、映像授業を制作してきたノウハウにより、生徒の集中力を保ち、理解できるように工夫されている。映像授業では「生徒の注視の時間」「生徒の視点の移動」「視野の範囲」などを分析する。撮影の時は3台の大型カメラに加え、手元を映すカメラも使用し、最適化されたカメラワークやカメラの切り替えを行う。

 そうやって撮影した映像をきめ細かく編集し、より効果的な映像授業を作っている。外部の業者に任せず、社内に設置した本格的なスタジオで撮影と編集を行い、自社でコンテンツを作っているのが特徴だ。

 授業で扱う問題の見せ方も工夫がされている。例えば難しい箇所を扱う場合、まずは全体像を見せてから細かい箇所の解説に入っていく。これにより理解を促す。また、数学の展開図や回転する図形など黒板では表現しにくいものは、立体アニメーションを活用することで視覚的にもわかりやすくしている。

全国でもトップクラスの講師陣

 映像授業に登場するのは日本でトップレベルの予備校講師たちだ。テレビでおなじみの林修先生は、今でも現役で現代文の授業を行っている。他にも英語の安河内哲也講師、数学の志田晶講師などそうそうたる講師たちが授業を担当する。

 講師の求人には年に100名以上の応募があるが、合格するのは数名という高倍率となっている。この全国でもトップクラスの講師陣の授業を受けられるのが、東進ハイスクールのメリットだ。

大学生の担任助手と「コーチングタイム」「チームミーティング」

 校舎に入ると、受付には若々しい担任助手たちが複数いる。校舎ではコーチングタイムがあり、担任助手と生徒が学習計画をもとにその日の学習の内容を確認する。吉祥寺南口校には進捗状況のランキングも貼られていた。

 週に1回はチームミーティングを開催。生徒6人ぐらいのチームを作り、担任助手の指南のもと、1週間の学習計画を話し合って共有する。実際にチームミーティングを見学することができた。生徒が「平日は部活動が終わってから校舎に来ると21時ぐらいになってしまうので、『じゃあいいか』ってなってしまう」と言うと、担任助手が「21時からでも1時間あれは1コマ勉強できるから来ようよ」とアドバイスをする。自分と年齢が近い担任助手の助言や励ましに、生徒たちは素直に耳を傾けていた。

AIで最適な学びを選択する

 高校3年生からは志望校対策が始まるが、これにAIを活用している。日本最大級の予備校である東進ハイスクールはビッグデータを持っている。これまでに蓄積された200億件以上の東進ハイスクールのデータと、入試問題データベース36万問をAIに取り込み、生徒一人ひとりに必要な学習を提供している。その累計演習実施回数は4,700万回に及び、その結果もAIに取り込まれ、日々改良されている。

「膨大な入試データをすべてAIが分析し、生徒はその大学を受験するのに何が足りてないかを正確に把握することで、その部分を補充するための問題を出すことができます。これにより効率的に志望校対策ができます」(ナガセ 常務執行役員 広報部長 市村秀二さん)

 高校2年までは、AIが身につけるべき学習項目を厳選。一人ひとりの学習に応じて最適なレベルの演習を提案し、生徒がまだ身についていない部分を補強していく学習をする。高校3年からは志望校対策に入っていく。

「志望校別単元ジャンル演習講座」は757大学2,573学部、「第一志望校対策演習講座」は109大学636講座。規模が最大級の予備校なので、全国の大学の志望校別講座を用意している。東京の生徒が地方の国公立大学を受験したいという場合にも、その対策ができるわけだ。

「高速マスター基礎力養成講座」で基礎学力を身につける

 東進ハイスクールでは、「高速マスター基礎力養成講座」という、効率よく基礎学力を習得するための講座を用意している。「高速暗記講座」と「高速トレーニング講座」の2つがあり、専用の学習アプリで学んでいく。

「高速暗記講座」では、英単語や古文単語、地歴の一問一答などを効率的に暗記ができる。生徒が覚えていないものをアプリが記録し、それだけを学習することもできる。また、英単語に関してはスマートフォン対応なので、駅のホームで電車を待っている時間などのスキマ時間に学習ができる。

「高速トレーニング講座」は、主に数学の計算演習が対象。毎日、習慣的に演習を行うことで、基礎的な計算力を身につけることができる。

 また、英語のリスニング試験対策用の「東進Listening」アプリや、東大のリスニング対策をできる「東大二次試験対策Listening」アプリもある。

学力POSで保護者と学習状況を連携

 保護者と連携するために、生徒の学習状況を生徒本人、保護者、担任で共有できる「学力POS」システムを整えている。インターネットでいつでも学習状況が確認できる。もちろん、保護者会や面談、電話などでも担任は保護者とコミュニケーションを取っていく。

東進模試で弱点を明確に

 最大級の予備校である東進ハイスクールの生徒が受けるので、大きな母数の中での自分の立ち位置がわかる。共通テスト型の模試では、中3日で成績表をWeb経由で返却し、すべての問題の正答率が記載された資料を提供する。これにより弱点が明確になるだけではなく、正答率が高いのに間違えた箇所は「特にやり直しが必要」と把握できる。

 また、模試の後には、復習と学習計画を立てるための授業を行う。大問別に受講可能なため、解けなかった問題だけをピックアップして学ぶこともできる。

東進ハイスクールに合う生徒・合わない生徒

 自分のスケジュールを優先し、効率的に学習したい生徒にはこの上ない予備校といえよう。また、地方にいても東京と同じ授業や分析が受けられるのも魅力だ。一方で、映像授業が苦手な生徒も一定数はいる。そういった生徒には合わないかもしれない。