授業をしないで何をするのか

教室の様子 出典:武田塾公式サイト
武田塾新宿校の教室の様子 出典:武田塾公式サイト

 武田塾の生徒は市販の参考書を使って「自学自習」をしている。では、塾側は具体的に何をしているのか。武田塾は授業をしない生徒の自主性を支え、伴走するスタイルの塾だ。武田塾では、自分で問題を解く力を養うことが志望校への近道だと考えられている。受け身の姿勢で授業を聞くだけでは、その内容が「分かる」に過ぎず、自分で解く力は養われないからだ。

 武田塾での指導は「宿題ペース管理」「確認テスト」「個別指導」「習慣コーチング」の4つを軸に構成される。

① 宿題ペース管理

 まずは「宿題ペース管理」。

 武田塾では、1週間のうち4日間は学習を進め、2日間は復習に充てる「4日2日ペース」の勉強法を推奨している。その際、生徒の理解度に合わせて、参考書の中から問題を指定し、宿題として出す。生徒が自宅や自習室で何を勉強すればよいか迷わないよう、「この問題を解いてくるように」と講師が明確に指示をするのだ。生徒一人ひとりで違う、志望校への合格に照準を合わせ、必要なレベルの問題を選ぶ。

② 確認テスト

 次に「確認テスト」だ。

 宿題ペース管理に加えて、1週間に1回の「確認テスト」で生徒の習熟度を講師がチェックする。確認テストの問題は、その週にこなした参考書の範囲から出題される。合格ラインは基本的には80点以上だが、難関校志望者に対しては100点を目指すよう伝えるなど、志望校の難易度に応じた目標点を設定する。これをクリアできなければ次週も参考書の同じ範囲をやり直す。一冊の参考書を完璧に解けるようになるまで先に進まないのが武田塾の指導方針だ。

③ 個別指導

 そして、「個別指導」。

 授業をしないなら個別指導で何をやるのか。1科目につき1週間に1回の個別指導では、生徒自身に問題を「どう解くか」を説明させるのも特徴的だ。生徒が自学自習で解いた問題について、講師が「どうやって答えを導き出したのか」を訊いていく。

武田塾教務・高田史拓さん 提供:武田塾
武田塾教務・高田史拓さん 提供:武田塾

「生徒自身が解法を説明できるのであれば、模試や本番の入試でも通用する力がついているはずです。ただ問題に正解することを目的にするのではなく、本質的な学力を培ってほしいと考えています」(武田塾教務・高田史拓さん)

オプション 習慣コーチング

 以上の3つが武田塾の基本のサービスだが、オプションで「習慣コーチング」も行っている。

 学習スケジュールの立て方をコーチングする。一日に何時間、どの教科を勉強するのかを計画化し、実践できるようになるまでを講師がサポート。1週間ごとにスケジュールを決めたあと、生徒は毎日、計画の達成状況を講師に報告する。このサイクルを繰り返すことにより、自主的に勉強を進めるための習慣づくりをする。武田塾全体で見ると生徒の1割程度が習慣コーチングを受講コースに加えている。

武田塾が提案する「参考書ルート」とは

 武田塾の生徒はすべて市販の参考書や問題集で学習をしていく。

 武田塾は志望校合格に必要な参考書をピックアップし、それらをどの順番でどのように学習していけばよいかを具体的に示した「参考書ルート」を科目ごとに用意している。参考書ルートは武田塾の公式YouTubeチャンネルでも公開されている。

 参考書ルートの作成にあたっては、武田塾の担当者が市販の参考書にほぼすべて目を通し、精査する。過去の指導ノウハウにもとづき、「志望校合格のためにどの参考書が必要なのか」「どの順番で取り組めばスムーズかつ効率的に学習を進められるか」にフォーカスしてルートを決定する。

 参考書ごとに取り組み方もまとめられている。例えば、数学の『基礎問題精講』シリーズであれば、まずは例題だけを自分で解いてみる。解けなければ答えや解説を確認し、自力で解けるようになるまで繰り返し取り組む。

 生徒と参考書のミスマッチを防ぐ仕組みもある。参考書が生徒のレベルに合わずに自学自習が進まない場合は、校舎長に相談のうえで教材変更に対応していく。

 また、近年は解説映像つきなど、工夫の凝らされた参考書が多く市販されている。数研出版の「チャート式」シリーズは、二次元コードを読み込めば解説動画を見ることが可能だ。有名講師の講義が再現された河合塾の「実況中継」シリーズでは、臨場感のある解説を確認できる。武田塾では、こうした参考書も積極的に参考書ルートに取り入れている。

「現代の受験業界には優れた参考書が揃っており、それらをやりきれば確実に学力がつきます。市販されている良質な教材を生徒に合わせて組み合わせ、進度を管理して成績を伸ばしていくのが武田塾の指導法です」(高田さん)

「大学生講師任せにしない」管理体制

 武田塾の講師はアルバイトの大学生が中心だ。大学生の講師は生徒と年齢が近いため、気持ちや感覚に寄りそった指導ができる。生徒側に「先生と二人三脚で受験に向かっていく」という感覚が芽生える。大学生講師の採用時には生徒との信頼関係が築けるかどうかを確認しているという。

生徒としっかりコミュニケーションがとれるか、生徒から見て信頼できる人間性を備えているかを重視して採用を行っています。受験生時代に武田塾のYouTubeチャンネルで勉強していた大学生がアルバイト先として武田塾を選んでくれるケースも多いです」(高田さん)

 武田塾はフランチャイズ方式で展開している校舎も多いが、校舎長に対しては本部からきめ細かい研修を行う。校舎長に就任後の1カ月間は毎週火曜日に研修会があり、1カ月分の勉強法や生徒とのコミュニケーションのとり方、事務手続きに至るまでのレクチャーを受ける。マンツーマンのきめ細かい研修も行う。

 他にもZoomを活用したオンライン研修会があるほか、テキストコミュニケーションツールを使って本部に指示を仰げるなど、相談の場も充実。この丁寧な本部の研修方針をはじめ塾全体のレベルを均一化し、高い指導クオリティを維持するための体制が整っている。

 また、生徒への指導を大学生講師に任せっきりにもしない。講師に対しても研修動画を用意し、参考書の使い方などを詳しく伝える。春・夏・秋の年3回、全国の講師が参加する「全体セミナー」で指導法や生徒との接し方のポイントも共有する。

「英語の長文解釈の学習が始まる時期であれば、英文解釈で間違った箇所の原因分析を徹底的に行うよう伝えます。分析が苦手な生徒には、長文が読めていない原因を洗い出せる『英語長文振り返りシート』を用意しています」(高田さん)

 さらに、個別指導後には、校舎長と講師、生徒の3人で個別指導の内容を振り返る「教務チェック」という時間も設ける。講師による指導報告に対し、校舎長が改善点の指摘やアドバイスを行い、学習計画を修正する必要があれば指示を出す。責任者として指導を統括するのが校舎長の役目だ。

充実した自習室と質問対応

武田塾新宿校の自習室の様子 出典:武田塾公式サイト

 武田塾は自習を指導の一環として組み込んでいるため、すべての校舎に個別指導室とは別に自習室が設けられている。自習室では一人用のブースがパーティションで区切られており、生徒が自身の課題に集中しやすい環境だ。校舎によっては音読ルームが用意されているところもある。

 自習中に生じた疑問は随時、講師に質問できる。校舎に講師がいる場合は講師が対応するが、講師不在の時間帯や地方の校舎では、御茶ノ水本校の講師がオンラインで質問に答える「質問対応サービス」(13時~21時)の利用も可能となっている。

 個別指導の時間にはなるべく質問を持ち込ませず、生徒自身に解法を説明させるのが武田塾のスタイルだ。そのため、自習中は質問がしやすいような体制となっている。

武田塾に合う生徒・合わない生徒

「自学自習」の伴走をすることで生徒の学力を伸ばす塾だ。「授業を聞く」というスタイルよりも、自分で市販の教材を読み、解いていくというやり方で「自学自習」をしたいが、どう勉強をすればいいか分からない生徒には合うだろう。

 一方で、「自学自習」をメインにしているため、学習をしたいというモチベーションがなかったり、集団で授業を受ける方が理解しやすいと感じる生徒には合わない場合もあるだろう。

武田塾の基本情報

校舎数

全国に約400教室(2025年現在)

生徒数 約17,000人
自習室の有無

あり(席予約システムあり。基本的に22時まで)

質問対応

講師がいつでも対応。講師不在時はオンラインで対応(13時~21時)

授業料

年間50万円から100万円超

(参考)「武田塾の料金は高い?高校生・高卒生の年間・月額費用(授業料)を徹底解説