高校無償化で早慶やMARCH付属の競争が激化
まず、登壇したのは高校受験部長・望月悟史さん。
望月高校受験部長はまず、今春入試にもっとも大きく影響した要因として高校無償化の拡大の影響を挙げた。公立進学校を志望していた層が、私立付属校を受験するケースが増え、その結果、早慶やMARCH付属高校の競争は厳しさを増した。
首都圏入試の特徴として「3科入試」のシェアの高さにも言及があった。全国的な標準は公立高校受験を中心にした5教科入試であるが、首都圏の場合、付属校を中心に私立高校のみを受験する生徒も多く、3教科のみの対策をする場合も目立つ。
一方で受験まで期間があるのであれば、5教科の対策をし、公立校も受験できるように可能性を広げていくことも検討してもらいたい。最終的に受験生本人の適性や志望から受験科目を決めていきたい。
2026年度の最大のトピックは「明大世田谷」開校
次に登壇したのは、古井美香上席専門職。
まず、2026年度の変更点として明治大学系列の「明治大学付属世田谷中学校・高等学校(明大世田谷、旧日本学園中学校・高等学校)」」が新たに募集を開始したことが挙げられた。MARCH付属は現在14校あり、うち明大中野、立教新座、立教池袋は男子校だが、明大世田谷は共学校である。
さて、MARCHの大学群に関しては中学受験、高校受験、大学受験でどの受験のハードルが緩やかという話がある。
大学入試とではMARCH全体の志願者数が約42万人で約4.5倍に対し、高校入試では約9千人規模・倍率は約2.97倍という数字が示された。また、中学入試のMARCH付属校への志願者は約15,000人で約3.31倍。
倍率だけを見れば高校入試はMARCH付属校へのハードルが緩やかということになる。
どのぐらいの偏差値でMARCH付属校に合格するか
実際の難易度を早稲田アカデミーの生徒の偏差値で見ていこう。早稲田アカデミーでは選抜クラスの「特訓クラス」と「レギュラークラス」に分かれる。
MARCH付属校に合格するのは、レギュラークラスでは年間平均偏差値60が一つの目安とされる。この水準の偏差値があればMARCHの付属校を複数校受験すれば1校以上合格できる可能性があると説明された。特訓クラスでは偏差値40台半ばでもMARCH群への多数の合格実績があり、特訓クラスにいれば十分に狙える水準だという。
難易度の高い学校は明大明治、青学、立教新座の3校となる。一方、法政大や法政国際、明大世田谷は標準的な学力からチャレンジできる学校として位置づけられている。
男女で違う難易度
さて、ジェンダーレスの時代といわれるが、MARCHの付属校受験では男女でハードルの高さが違うことも言及される。
女子は受験できる学校が少ないため、男子と比べて入試が総じて厳しく、紹介されたケーススタディでも女子のサンプルは全体的に偏差値水準が高めになっていた。
実際の受験プランを見ると、男子のケースでは偏差値56のレギュラー生が法政国際・日大系・学習院などに複数合格し、進学先を選べる状況を作り出している例が示された。特訓クラスの偏差値54で受験した男子が早慶を含め全校合格の事例も紹介された。
一方、女子のケースでは同じ偏差値水準でも選択できる学校が限られやすく、より慎重な日程設計が求められる。特訓クラスで偏差値55の女子のケースでは全勝とはいかない例が示される。同一日程の国学院久我山と中央大学付属を二重出願しておき、前日の合否結果を受けて翌日の受験校を決定するといった細かな戦略が有効だ。
また、補欠合格の繰り上がりを待つケースも珍しくなく、「最後の一瞬まで諦めない」姿勢が重要だと古居さんは語った。実際、女子で青学は残念だったが早稲田本庄に繰り上がった例もあるという。
入試日程の「かぶり」をどう攻略するか
MARCH付属の入試日程は相互に重複が多く、どの日程でどの学校を受けるかが合否を左右する最大の戦略ポイントとなる。
「書類選考で抑え校を確保したうえで、一般入試でチャレンジ校を狙う」「前日の結果次第で翌日の受験校を切り替える二重出願」など、複数の戦略パターンが具体的に示された。2月9日の早稲田本庄のように他校と日程が重複しない学校はチャレンジしやすいため、積極的に受験できると解説された。
内部進学ルールの違いを把握せよ
付属高校に入学後、「進路はどうなるのだろうか」についても重要な点を解説された。学校により条件は異なるものの、明大系・中大系・法政系は内部進学の権利を保持したまま他大学入試へのチャレンジが可能だ。一方、立教・青学は他大を受験する場合、内部推薦権の辞退が条件となる。
どちらが合うかは生徒自身の性格や目標次第であり、どちらが一概に良いかとはいえないとのことだ。法政系の一部学校では内申点が進学コースや内部推薦に影響するため、確認が必要だ。
かつての付属校は入学と同時に進学先の大学が決まったが、今は他大への進学も視野に入ってくることが分かる。
早稲田アカデミーが重視する「環境の力」
このように魅力的な付属校の入試で早稲田アカデミーは早慶付属高校で1,652名、MARCH付属で1,915名という合格実績を出している。
古居さんはこう話す。「私は普段から授業もさせていただいていますが、私たちが生徒に何かを伝えるというよりも、生徒同士が刺激をもらいあって切磋琢磨する空気が早稲田アカデミーにはございます。それが最大の価値ではないかなというふうに、日々授業をさせていただいていて感じております」
創業以来50年、「本気でやる子を育てる」という教育理念のもと、受験合格はゴールではなく「15歳で高い目標に向かって真剣に取り組む人間を育てる」過程と位置づけている点が、早稲田アカデミーの指導の根幹にある。
合格をつかむ4つの習慣
古居さんは合格に向けた実践的な4点を提示した。授業を休まない、毎回の確認テストで満点を目指す、宿題を必ずこなす、模擬試験後に必ず解き直す——この習慣の積み重ねが成績向上につながる。
「範囲の決まったテストで高得点が取れない子は、志望校判定模試でも点数が出ない」という指摘は、家庭での声かけのきっかけにもなる。中学3年から開講する必勝講座の選抜試験は年間を通して複数回実施されるため、最初に合格できなくても繰り返し挑戦することが推奨された。

