総合型選抜とは?
総合型選抜とは一言でいうと、受験生が「大学が求める学生像」と合致しているかを確認する選抜方式のことです。この確認の方法として小論文や面接、プレゼンテーションや実技など、大学や学部によってさまざまな方法がとられています。
これまでの活動実績や、入学後にどのような取り組みを進めていくのか、どんなことを学びたいのかという意欲・目標が重視されます。学校推薦型入試とは異なり、学校長の推薦は基本的に不要で、出願要件をクリアできれば誰でも受験することができます。
アドミッション・ポリシー「大学が求める学生像」とは?
総合型選抜で重要視される「大学が求める学生像」はアドミッション・ポリシーと呼ばれています。「こんな生徒に入学してほしい」と大学が求める学生像は募集要項に掲載されており、選考時には特に大切です。大学や学部によって異なるので、受験時には必ず確認しましょう。
農学部は、人類の福祉と健康に関わる課題の解決に向けて「食料・環境・生命」という21世紀を象徴する3つのキーワードを軸に、新時代に対応した特色ある教育・研究を行っています。新時代を担う専門的知識と技術を身に付けた人間性豊かな人材の育成に努めています。
そのため農学の役割と魅力を理解し、幅広い教養を身に付けた志願者を期待します。
※参照: 2025年度 明治大学農学部 自己推薦特別入学試験要項
わが国を含め世界の政治・経済情勢は大きな変化の時代を迎えています。その一つに、貧困や環境の問題などが挙げられますが、その根本には経済問題があるのはいうまでもありません。今の時代に大学で経済学を学ぶ意義はきわめて大きいといえます。同時に、社会や世界の多様な文化や考え方の違いを認識することが大切だと言えます。まさに、激動の世界において活躍できる「世界市民」に求められる資質は、経済学の専門知識だけでなく幅の広い多様な知識としっかりとした価値観を持つことです。
学校推薦型選抜との違いとは?
総合型選抜と似た入試として学校推薦型選抜が挙げられますが、総合型選抜は学校推薦型とは異なり高校の推薦を必要としません。また、学校推薦型の指定校制の場合は、学校での推薦枠が決まっているため校内選考が実施される場合がありますが、総合型選抜ではその必要がなく、出願要件を満たしていれば誰でも受験することが可能です。
試験内容を比較すると、学校推薦型選抜は小論文・面接が中心となっていますが、総合型選抜は小論文・面接以外に、大学独自試験や大学入学共通テストなどが課される場合があります。しっかり学力を測る入試も多いため対策が必要です。
また評定平均についても、学校推薦型選抜の場合は基本的に一定以上が必要となりますが、総合型選抜では定められていないケースが一般的です。大学・学部によって出願要件や試験内容は異なるため、事前の確認が重要となります。
総合型選抜が注目されている理由とは?
総合型選抜が注目されている大きな理由としては、合格者が増加している点が挙げられます。2023年度の入学者を見ると、総合型選抜で入学した受験生は92,393人となっており、入学者全体の14.8%が総合型選抜で合格しています。
2023年度入試から過去5年間を見ると、2019年度では入学者全体の約10%が総合型選抜で入学していましたが、5年間で約1.5倍と急激に増加しています。近年では大学側がさまざまな入試形式を実施しており、総合型選抜を導入してしている大学・学部の数自体も増えています。
一般選抜や学校推薦型選抜での受験が一般的ですが、総合型選抜も受験することで合格率を上げることができるため、積極的に受験することをオススメします。最近では併願できる総合型選抜も増えてきているので、志望校の募集要項などを確認してみてください。
実施年度 |
総合型選抜の 入学者数 |
入学数全体に 対する割合 |
---|---|---|
2019年度 | 61,127 | 9.9% |
2020年度 | 65,041 | 10.4% |
2021年度 | 77,921 | 12.7% |
2022年度 | 84,908 | 13.5% |
2023年度 | 92,393 | 14.8% |
※参照: 文部科学省 |
総合型選抜の選考方法・出願要件・スケジュールは?
総合型選抜は、他の入試とは異なる選抜方法やスケジュールとなっています。「知らなかった」がないようにしっかり把握することが大切です。それぞれの内容を解説していきます。
総合型選抜の選考方法は?
旧来のAO入試では、書類審査と面接のみで選考している大学が大半でしたが、近年では学力試験やプレゼンテーションなどさまざまな選抜方法が実施されるようになっています。このことにより、総合型選抜の選考内容は大学によって大きく異なるため、大学ごとに入試要項で確認することが必要です。
ここでは総合型選抜で採用されやすい選考方法を一覧で紹介します。
厳格な出願資格がある大学は少数
学校推薦型選抜では高校3年間の評定平均が4.0以上ないと、出願することができない大学があります。つまり高校1年から常に高い評定を取っておく必要がありますので、出願資格としてはとても厳しい条件となります。
その一方で総合型選抜は学校推薦型選抜と異なり、出願資格に高い評定平均を設けている大学は少ないので、多くの受験生に出願資格があることが特徴です。
しかし総合型選抜でも学力を問うよう方針が変わったことから、近年、評定平均や英検などの語学検定資格の有無を出願条件としている大学が増えています。こちらも大学個々によって出願資格は異なりますので、必ず志望大学の入試要項で確認するようにしましょう。
「評定平均」とは:
・ 高校1年から高校3年の1学期までの期間の、全科目の成績が対象
・ 全科目の成績評価(5段階)を足し合わせて科目数で割った数値
一般選抜や学校推薦選抜よりも早いスケジュール
これまでAO入試では、どの時期に試験を実施すべしといったルールはありませんでした。しかし総合型選抜へと変更になったことにより、出願時期は9月以降、合格発表時期は11月以降に実施するようルールで定められています。
例として京都にある龍谷大学の、2025年4月入学の総合型選抜入試スケジュールを紹介します。1次・2次と2つの選考から合否が判定されるスケジュールです。一般選抜に合わせて勉強を進めていると、対策が間に合わない可能性があるため注意が必要です。
項目 | スケジュール |
---|---|
出願期間 | 2024年9月1日~9日 |
1次選考合格発表 |
2024年9月28日 書類選考 |
2次選考試験日 |
2024年10月19日 小論文・面接 |
最終合格発表 | 2024年11月2日 |
※参照: 龍谷大学 |
総合型選抜のメリットとデメリットは?
これまで解説したとおり、総合型選抜には一般選抜や学校推薦型選抜と異なるメリットがありますが、デメリットも同様にあります。
誰にでもチャンスがあることが最大のメリット
総合型選抜は志望する大学に対して、強い志望理由とアドミッション・ポリシーに合致した学生であることを、試験官に表現できれば合格できる選抜方式です。
一般選抜で求められる学力に及ばない受験生、または学校推薦型選抜の出願資格に必要な評定平均を有していない受験生にも合格のチャンスがあるということです。もちろん、まったく学力が必要なくても、簡単に合格できる選抜方式ということではありません。
志望する大学でどのようなことを学び、どのようなことを成し遂げたいのか。学びたい分野への強い関心や学修意欲、それに対してこれまで取り組んできたことを表現し、アドミッション・ポリシーと結びつけることが総合型選抜では重要です。
そのためにも志望大学に対するリサーチやオープンキャンパスへの参加など、早め早めに考えて準備することが大切でしょう。強い動機があれば合格のチャンスがあることが総合型選抜のメリットです。
一般選抜と併願するとハードルが高い
総合型選抜は原則的に専願での出願となります。しかし総合型選抜で不合格だった場合には、一般選抜での合格に挑戦することとなります。総合型選抜の合格発表まで、高校3年間のほとんどの時間を費やしている状況ですので、11月の合格発表を受けてから一般選抜の試験対策をするのは、相当ハードルが高いことはデメリットです。
対策としては、総合型選抜の試験対策と並行して学力試験対策も行うことが必要でしょう。ただ、どちらもしっかり対策してから受験ができると合格の可能性を高めることができるため、早めに準備を進めていきましょう。
まとめ
ここまで総合型選抜について、学校推薦型選抜との違いも含めて解説してきました。総合型選抜は、大学で学びたいことが固まっている学生や、そのために必要な取り組みを行ってきた学生にとっては有効な選抜方式です。本記事を参考に、すべての受験生が自分に合った選抜方式を選択できることを願っています。