中学受験の算数が苦手・点がとれない子のよくある特徴

「中学受験の算数は、小学校で習うものと被っている部分もありますが、進度も速く、問題を解くことに特化して学んでいきます。また、本来は中学や高校でやるような分野も一部取り入れています」と話すのは、中学受験 個別指導のSS-1で算数を担当する日野 泰志先生です。中学受験の算数を苦手とするのは、以下のようなタイプが多いようです。

答えにしか興味がない

 算数では、思考過程も重要です。途中式を書かないで答えを記入する子にこのタイプが多いです。筆算が雑で、問題用紙の空いたスペースに、ぐちゃぐちゃに計算していたりするため、式はあっているのに筆算で桁がずれていたりしても気づかず、結局間違った答えになりがちです。学校によっては、たとえ答えが不正解でも、途中式までを採点対象とするところもあるため、式を書くといった答えに至るまでの過程にこだわる・書き残すことは大切です。

公式を理解していない

 算数では様々な公式や解法がありますが、公式や解法を言葉だけで覚えていると、応用問題で活用できないケースが多々あります。「公式や解法を応用できないのは、自分の中で完全に理解していないから」だと日野先生は話しています。理解できないまま繰り返していても、結局解けない状態が続くだけですので、わかっていない部分をあぶりだし、本人が理解できる言葉で説明する必要があります。

イメージして解くことができない

 中学受験では、抽象的な思考を求められる問題が少なくありません。抽象的な概念をイメージしづらいことで解法がわからず、苦手分野になってしまうことがあります。図解できるものであれば、実際に図やグラフなどでイメージを明確にし、数値などの条件を書き込んでみる習慣をつけておくのもおすすめです。

問題文をちゃんと理解していない

 よくあるミスとしては、文章題の数字の部分だけを取り出し、意味をよく理解しないまま式を立てようとするパターンです。数字が示す意味をきちんと理解していないと、正解には至りません。問題によっては、ミスリードを誘うような書き方をしているものもありますので、理解しやすいように、明示されている条件を書き出してみるのもよいでしょう。

中学受験の算数の苦手を克服しよう

 上で紹介したように、算数で点がとれず、苦手になってしまう原因は多々あります。自分の子どもは何が原因となっているかを探り、苦手な単元を重点的に復習するなどして、弱点克服に努めましょう。

計算問題を習慣的に解き計算力を上げる

 算数で点がとれない子は計算が雑だったり、苦手だったりする子が多い傾向にあります。計算力は算数における重要な要素で、計算に時間をかけてしまうと数がこなせず、テストで「時間が足りない」という事態に陥りがちです。

 また、算数の小問といわれる計算問題は、きちんと解けば必ず点がもらえる得点源でもあります。ここでミスしてしまうと点差が開いてしまいますので、計算問題は落とさないという気持ちで臨みましょう。

 そのためには、低学年のうちから四則演算に取り組み、新4年生で塾に入るまでには、掛け算や割り算の筆算がスラスラできるまでぐらいには準備をしておきたいものです。算数の他の分野と異なり、計算は先取りしやすく、しかも中学受験の勉強においては優位性を発揮します。ただし、子どもの適性もありますので、無理強いして先取りすることは避けましょう。

基礎問題を徹底的に演習し、基礎を固める

 中学受験塾では、スパイラル方式で何度も繰り返し同じ分野を学びますが、単元によっては一度で終わってしまうものもあります。基礎力の定着をはかるため、夏期講習などでは復習をやってくれる塾が多いですが、どうしても“抜け”が出てしまいます。

 日々の授業や復習テスト、組分けテスト、模試などの結果で、どの部分の基礎が弱いのかを分析し、早めに塾のテキストや分野別の参考書・問題集などで弱い部分の復習を行っておきましょう。一般的には、6年生の9月以降から志望校の過去問対策が始まります。そのため、基礎固めは、6年生の夏までを目標に取り組んでみてください。

多様な問題に触れ、応用力を育む

 基礎ができていることが前提ですが、入試対策として、6年生からは様々な応用問題に取り組んでいきます。難関校を志望する場合、入試でどんな問題が出ても対応できるよう、多様な問題に慣れておくことも重要です。自分の志望校の問題は、過去問として実際の入試と同じように取り組むため、似た偏差値帯や傾向にある他の学校の過去問を解いてみるのもよいでしょう。

 こちらの記事で紹介している問題集などを使ってみるのもおすすめです。

中学受験の各苦手分野の対策とコツ

勉強する子どもの画像
出典: pixta

「図形」「場合の数」「割合と比」は、入試での出題が多い分野ですが、苦手とする子も非常に多いようです。この3つの分野についての基本的な対策やコツをご紹介します。

 ここでも重要なのが、必要に応じて、手を動かして図に描くということです。解答欄に記入する場合でなければものすごくきれいに描く必要はありませんが、あまり雑だと自分でも読めなくなってしまいます。スピードと読みやすさを兼ねた描き方をするには、やはり慣れが必要です。

監修:日野泰志氏のワンポイントアドバイス

 子どもたちは図に描くことで解けたという経験をもてば、次第に自分から描くようになっていきます。

図形の基本のコツ

「図形は中学受験の花形ですが、定番だけを覚えればいいものではないので、とても悩ましいです」と日野先生。「算数が得意な子は、補助線を引くにしても、いくつかのパターンを経験すると、形が違っていても『ここはこれでいける』という要点を掴んでいる。一方、苦手な子は、目の前の1問を丸暗記しようとするので、形が異なるとわからなくなる」と言います。

 対策のひとつとしては、沢山の問題を解き、どのような補助線を引いたかきちんと言語化しておくこと。こうした練習によって、形が違う問題が出ても「ここでは、このパターンが使える」という感覚が期待できるそうです。

 また、苦手な子ほど図に条件を書き込まず、頭の中で考えがちです。問題文をよく読み、出てきた数字はしっかりと図に書き込みましょう。さらに、自分が計算で求めた部分もきちんと図に書き込む習慣をつけておきましょう。 
 そのうえで、対角や相似など、図形の性質を考えながら、必要であれば補助線を引いていきます。線を引きすぎるとごちゃごちゃするため、まずは薄く引いて、これで良いか検証してみましょう。

 このように、図形は「たくさん問題を解いてパターンを知る、言語化する」「図に条件をしっかりと書き込んで考える」という2つの工夫で、解く力を養っていきます。

場合の数の基本のコツ

「場合の数」は並び方やサイコロ、数字カードなど、多岐にわたるため、理解するにあたってのコツを紹介します。

 まず、最初のうちは「手を動かす」ことがとても重要になります。最初から形だけ公式を覚えるのでは、子どもは理解できません。「なぜそうなるのか」を、実際に問題に取り組みながら理解していく過程が大切です。

 習い始めは、条件の数値も大きくないので、樹形図を使わず、まずはすべてのパターンを書き出して数えてみるとよいでしょう。そのうえで、樹形図に置き換えてみることで、段階的に理解を深めていきます。

 例題をもとに考えてみましょう。

例題:Aさん、Bさん、Cさん、Dさん、Eさんの5人から、3人を選ぶ組み合わせは何通りありますか。

 図にしてみると、このようになります。

場合の数「樹形図」

 今回は「選び方」でしたので樹形図を使いましたが、問題によってグラフなども使い分けてみましょう。数が多くなっていくと、こうした図は描ききれなくなります。最初に図を描いて理解を深めたうえで、公式を使っていく過程が重要です。

比と割合のための下準備

 中学受験の算数では、比と割合を使った問題が幅広く出題されます。まず、下準備としてやっておきたいのが、分数や小数をしっかり理解し、計算できることです。

 また、売買損益では「2割」といった歩合、食塩水の問題では「10%」といった百分率が出てきますので、これも小数や分数などの数字に変換できるようにしておきましょう。初歩的なミスとして、「5%」を「0.5」として計算してしまうケースもあります。

 そのほか、よくあるミスが「問題文を読み違える」「内容を理解できていない」というものです。重要な条件については、書き出したり問題文に傍線を引いたりしておくのもよいでしょう。

中学受験の算数の苦手を放っておくとどうなる?

「算数を苦手なままやらずにいると、悪循環に陥ります。子どもは苦手とする教科はどうしても後回しにしてしまうので、点がとれなくてやりたくなくなる。それの繰り返しで、本人のモチベーションも下がる一方ですし、算数そのものが嫌いになってしまいます」と日野先生が話すように、中学受験においては大きなデメリットとなります。

 また、苦手克服は早ければ早いほどよく、5年生の始めであれば、まだ色々な対策をとることができます。

監修:日野泰志氏のワンポイントアドバイス

 6年生になっても志望校との偏差値が大きく離れている場合、志望校の傾向にあわせて分野の優先順位をつけましょう。そして低いものは切り捨てていくことになります。

中学受験の算数が苦手に関するまとめ

 近年は、算数1教科だけで受験できる単科受験の学校も増えており、ますます算数の重要性は増しています。今回の記事を参考に、ぜひ保護者の方がサポートして、お子さんが積極的に算数に取り組めるようになってほしいと思います。