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LINEはスマートフォンのポータルになれるか

LINE・出澤剛社長インタビュー

ダイヤモンド・オンライン編集部
2016年9月1日
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無料対話アプリを手掛けるLINEが7月に日米同時上場した。いまや日本国内のスマートフォンユーザーの中でLINEを使った経験がない人を探すほうが大変だと言えるくらい急成長した同社だが、ここからの成長をどう描いているのか。出澤剛社長に聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン編集長 深澤 献)

重点市場は日本のほか
タイ、台湾、インドネシアの4ヵ国

――改めて、上場した狙いとこれからの成長戦略をどう描いているか、聞かせてください。

いでざわ・たけし
1996年早稲田大学を卒業。2001年にオン・ザ・エッヂへ入社し、07年4月に新事業会社となるライブドアの代表取締役社長に就任、同社の経営再建を果たす。12年1月、NHN Japan取締役に就任。その後、213年4月のNHN Japanの商号変更に伴い、LINE取締役に就任。広告事業を統括した後、14年1月に取締役COOに、同年4月には代表取締役COOに就任。15年4月より代表取締役社長CEOに就任。現職。
Photo by Kazuhiko Kurabe

出澤 上場した狙いは大きく2つあります。一つは資金調達。非常に競争が激しく、動きも速い世界なので、そこで大きな挑戦をしていくためです。もう一つは、社会の公器となるため。今、我々はコミュニケーションのインフラになりつつあると思っています。上場という形で社会の公器になって、情報も適切に開示させていただいて健全性を保ち、そして新しい株主の方に入っていただくことで、経営の独立性を持ってやっていきます。

――よく聞かれていると思いますが、韓国の親会社「NAVER」との関係はどうなっていますか。上場後も80%程度と株式保有率は高くなっていますが。

出澤 従前からLINEの意思決定というのはLINE社でやってますし、親会社に関して言うと非常に理解があります。親会社は、そのまま任せて現地化していくことこそが成功の近道だという考え方、哲学を持ってるんです。なので非常に信頼してもらって、ほとんどすべてのことはここで決めているという状況です。非常に良い関係ですし、独立性は当初から確保された状態でやっています。

――今回、日米同時上場ですが、事業面で米国市場を意識している?

出澤 LINEの事業は完全にアジアの4ヵ国、日本、タイ、台湾、インドネシアにフォーカスしていますので、米国での短期的なユーザー獲得などのイメージはありません。ただ、我々がこれからやっていくサービスのための技術の取り入れや、インターネットやAIなどの最先端企業との関わり合いなど、そういう意味で米国は重要だと考えています。

――LINE事業は開始から5年ですが、世界を狙うというときに、なぜ、日本とタイと台湾とインドネシアの4ヵ国にしたのですか?もっと広げたいと思った時期もあったのでは。

出澤 事業展開していく市場を見るときに重要なのは、スマートフォンの普及率です。我々のような事業は友達が友達を呼ぶサービスで、AとBというサービスがあった場合にどういう基準で選ばれるかと言えば、友達がいっぱいいる方が選ばれます。ですから、1位のサービスはどんどん強くなり、2位、3位は非常に厳しくなる、という構造です。

 すでにスマートフォンの普及率が高い国に進出してしまうと、この構造を覆すのは難しい。我々の見立てだとスマートフォンのシェアが50%を超えてくるとちょっと厳しいなということがあり、過去の施策などを元に冷静に判断していく中で、今の段階ではアジアに絞ったほうがいいだろう、と。そこで特に去年くらいから先ほど挙げたアジア4ヵ国にフォーカスしています。

――4ヵ国の戦略はそれぞれ別個で考えるのか、それとも、全体をつなげて考えるのですか。

出澤 グローバル戦略で最も大事にしているのがローカライズです。ローカライズを超えてさらに、徹底的なローカライズという意味で「カルチャライズ」という言葉もよく使っているのですが、同じアジアで“似ている”と言っても文化的な背景や現地の流行りで趣向は左右されます。

 例えばタイのユーザーさんが一番大事にする、よく出てくるキーワードは「家族」です。他の国より家族や家族と過ごす時間を大事にします。それがインドネシアでは「学校の友達」です。

 なので、例えばタイでテレビCMやマーケティングをやるときは「家族」を大きなセールスポイントにしますし、インドネシアでは「学校の友達」とそのつながりを大事に考え、日本では入れていない「同級生を探す」という機能を入れるなど、徹底的にローカライズ、カルチャライズしています。

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