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社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭

パラリンピックは「感動ポルノ」なのか?

竹井善昭 [ソーシャルビジネス・プランナー&CSRコンサルタント/株式会社ソーシャルプランニング代表]
【第164回】 2016年9月6日
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 リオのパラリンピックが明日7日に開幕する。オリンピック後に開催されるこの大会、以前はほとんど注目もされなかったが、近年はマスコミでの報道も徐々に増え、人々の関心も高まっているようだ。僕のところにも、パラリンピック絡みでいくつかの取材依頼が来ている。たとえば、9月3日付けの中日新聞、東京新聞にもインタビュー記事が掲載された。

 これは、2014年2月に書いた当連載の第105回記事「もう、パラリンピックは終わりにしよう。生みの親だからこそできる、2020年東京大会の歴史的役割」を読んだ記者や編集者の方たちが注目、共感してくれて取材依頼をしてくれたわけだが、このDOL記事でも今回の各種取材でも、僕が主張していることは一貫している。それは「パラリンピックはオリンピックと統合しろ」ということだ。その主張は2年前に書いた記事と変わらない。ただ、社会の障害者に対する見方、向き合い方はこの2年でもずいぶん変わったかと思う。今回は、その変化を踏まえて、もう一度、この問題を考えてみたい。

『24時間テレビ』に対する批判

 その変化を直近で最も強く感じたのは日本テレビ系『24時間テレビ』の裏で、NHK・Eテレがぶつけた『バリバラ』という番組に対する世間の評価である。

 『24時間テレビ』は1978年から始まった。全国各地でチャリティキャンペーンを行う「チャリティ番組」として始まったはずなのだが、近年はほとんど「障害者と重病患者による感動バラエティ番組」になってしまっている。もちろん、障害者や重病患者を登場させて感動ドキュメンタリーを放映することが悪いわけではない。しかし、障害者個人、重病患者個人の感動物語を放映することと、チャリティはイコールではない。

 チャリティの基本的な役割は「寄付金集め(ファンドレイジング)」であるが、同時に「啓発」という重要な役割もある。啓発とは簡単に言えば、いままで社会には見えていなかった社会問題を顕在化させ、人々を社会問題解決のための行動に促すということだ。寄付はその行動の第一歩なのである。

 しかし『24時間テレビ』には、この重要な「啓発」の部分が抜け落ち、単に障害者のことを、健常者が「感動」を消費するための道具として扱っているだけではないか――。これが、近年の『24時間テレビ』に対する批判の要諦だ。前述のNHK・Eテレ『バリバラ』は、この「批判」を真正面から捉えたものだ。番組のテーマは、「検証!『障害者×感動』の方程式」。放送時間は8月28日(日)の19時00分から30分。まさに『24時間テレビ』がフィナーレを迎えようとしている真裏の時間帯。NHKは否定しているが、誰がどう見ても『24時間テレビ』への対抗企画だ。

 番組の中身に関しては、ネットでも多くの情報がアップされているので、詳しくはそちらを参照してほしいが(ex:『24時間テレビ』を批判か? NHKの『バリバラ』に大反響)、この番組のキーワードとなっていたのが「感動ポルノ」という言葉だ。

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竹井善昭 [ソーシャルビジネス・プランナー&CSRコンサルタント/株式会社ソーシャルプランニング代表]

マーケティング・コンサルタントとしてクルマ、家電、パソコン、飲料、食品などあらゆる業種のトップ企業にて商品開発、業態開発を行なう。近年は領域を社会貢献に特化し、CSRコンサルタント、社会貢献ビジネスの開発プランナーとして活動。多くの企業にてCSR戦略、NGOのコミュニケーション戦略の構築を行なう。「日本を社会貢献でメシが食える社会にする」ことがミッションに、全国各地で講演活動を行なう。ソーシャル系ビジネスコンテストや各種財団の助成金などの審査員多数。また、「日本の女子力が世界を変える」をテーマに、世界の女性、少女をエンパワーメントするための団体「ガール・パワー(一般社団法人日本女子力推進事業団)」を、夫婦・家族問題評論家の池内ひろ美氏、日本キッズコーチング協会理事長の竹内エリカ氏らと共に設立。著書に『社会貢献でメシを食う。』『ジャパニーズスピリッツの開国力』(いずれもダイヤモンド社)がある。

株式会社ソーシャルプランニング
☆竹井氏ブログ 社会貢献でメシを食う〝REAL(リアル)〟
☆Twitterアカウント:takeiyoshiaki


社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭

CSRやコーズマーケティングをはじめ、「社会貢献」というテーマがポピュラーとなったいま、「社会貢献のセカンドウェーブ」が来ている。新たなサービスやプロジェクトのみならず、新たな主役たちも登場し始めた。当連載では話題の事例を取り上げながら、社会貢献的視点で世の中のトレンドを紹介していく。
*当連載は、人気連載『社会貢献を買う人たち』のリニューアル版として、2014年1月より連載名を変更しました。

「社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭」

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