投資の意思決定に関する独立性を持ちながら、株主である三菱商事と三菱東京UFJ銀行のバックアップが得られるという、いわば「いいとこ取り」という点です。

 2社の信用力やネットワークを活用すれば、日本では難しい投資案件の発掘もしやすく、多様なステイクホルダー(利害関係者)が絡む投資案件も進めやすい。

 また、三菱商事の物流機能や海外拠点網という、通常のファンドが持っていない機能を投資先企業に提供できます。特に海外展開に課題を持つ投資先との相性がいい、大きな差別化要因です。

──「ファンド=ハゲタカ」という固定観念も薄れ、ファンドに対する企業側の抵抗感もなくなってきたのではないでしょうか。

 昔のイメージとはまったく違いますね。最近では、地方の同族経営の企業と議論するような機会も得られるようになってきました。

 しかし、まだ日本でのPEファンドの存在感は著しく弱いです。国内総生産(GDP)に対するPEファンドの投資額を比べると、先進国の中で最低レベルです。

 今、企業の新陳代謝や事業承継、事業を切り出すカーブアウトなどが重要な課題となっていますが、もっと早く俎上に載せるべきだったものを10年以上も積み残してきたように思います。事業構造の転換では、時間をかけるだけ再編に絡めなくなるなど、打ち手が限定されて不利になります。

 日本でもPEファンドがもっと活躍し、事業構造の変革や経営体制の刷新などがスピーディーに行われることで、日本企業全体の競争力が高まることが望ましいと考えています。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 鈴木崇久)