残業の多い職場では、なぜメタボな社員が多いのか今や会社が社員の食事までケアするのが、常識になりつつあります

 “社員の能力を100%引き出す食事マネジメント”……この連載タイトルをみて、「社員の食生活までケアするなんて、そこまで過保護にしないといけないのか」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。ましてや、そのマネジメントに栄養士が関わってくるなんて、理解に苦しむ方もいることでしょう。私自身、栄養士を目指した十数年前には、社員食堂で働く以外に、栄養士として企業でお仕事をさせていただくことがあるなんて想像もしていませんでした。

 しかしながら、この数年、企業からお声がけをいただいて社員の方にお話をする機会が大変多くなりました。

 「社員が健康でいられるよう、会社としても取り組まないといけない」
 「毎年、産業医の先生に話してはもらっているんだけれど、聞いて終わりになってしまっているんですよ」
 「メンタルヘルスに問題を抱える社員が多くて、いろいろな切り口を模索しているんです」
 「社員には健康でいてほしいですから」
 「他と違う取り組みをして会社のウリのひとつにしたい」

 こうしたテーマを取り扱うことをタスクとして考えている、現状ですでに社内に課題を抱えている、もともと健康に興味をもっているなど、企業の皆様が私にお声がけいただくきっかけやご事情は様々だと思います。ただ、最近の企業経営において「健康経営」というキーワードが注目されている影響も小さくないと思います。社員の健康を気遣うことは、仕事のパフォーマンスを上げ、巡り巡って企業に利益をもたらす、という考え方です。

 もちろん、食でどこまで変わるのか、という期待値も様々ですが、社員の「食生活が良いに越したことはない」し、「心身ともに健康でいられるために、少なくとも、食はその一端を担う」ということは、皆さま意識されているようです。とりわけ、経営視点から全社員のマネジメントに携わる人事・総務のご担当者にとって、社員の健康維持への取り組みは、重要な仕事の1つになっていくと思います。

 そうはいっても、やはり健康管理は本来個人の問題であり、そこまで総務・人事部で扱うべきではないと考えられる方もいらっしゃるでしょう。事実、取り組まないといけないのは本人ですが、チームや部署、会社全体の風土の中でよく見られる傾向があれば、企業としても個々人が改善しやすい環境づくりをサポートすることが大切になってきます。

 特に、食に関していえば、そこに総務・人事部の皆さまが関わることの意義があります。その企業ならではの働き方、毎度の食事にかけられる予算感、職場の近隣の飲食店事情などを知っている“身内”だからこそできることがあるのです。この連載では、皆さまが対策をとられるときの参考になるよう、職場によって異なる問題点や対策をご紹介していきたいと思います。